鼓室部は外耳道Meatus acusticus externusの底と側壁を形成する。鼓室部の自由縁(外側縁)は側頭鱗とともに骨外耳孔Porus acusticus externus osseusを囲む。

上縁は巻き込んだようになっており、外側でその上へ側頭鱗の一部が突き出ている。鼓室部との間には鼓室蓋稜Crista tegmentalisという骨質の堤がはさまれ、錐体鼓室裂Fissura petrotympanicaと錐体鱗裂Fissura petrosquamalisという2つの裂隙が生じる(RK228(左の側頭骨:外方からみる) )。錐体鼓室裂はより重要で、鼓室に通じて鼓索神経Chorda tympaniを通し、ツチ骨の長突起とツチ骨長突起靱帯を容れている。

反対側の鼓室部骨板の下縁は鋭い稜線をなし、鼓室稜Crista tympanicaと呼ばれ、その内側面に茎状突起の基部が接している。鼓室部と乳突部の境には鼓室乳突裂Fissura tympanomastoideaがあり、その中に乳突小管Canaliculus mastoideusの外口が開いている。

鼓室部の内面は凹面で、奥に鼓膜のつく鼓室溝Sulcus tympanicusという溝がある。新生児では外耳道がなく、鼓室部は鼓室輪Anulus tympanicusという弓状の骨部をなす。その前端は大鼓室棘Spina tympanica major、後端は小鼓室棘Spina tympanica minorと呼ばれ、それぞれ自由端をなして側頭鱗の下縁に接する。両端の間には側頭鱗の鼓室切痕Incisura tympanicaが残る(RK224(**新生児の右側頭骨:**外側面)、225(**新生児の右側頭骨:**内側面) )。

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RK224(**新生児の右側頭骨:**外側面)、225(**新生児の右側頭骨:**内側面)

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RK228(左の側頭骨:外方からみる)