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目次(I.骨格系)

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RK353( 足の骨(右):足背面)RK354(足の骨(右):足底面)RK355(過剰足根骨の模型図)、356(足の骨格のレントゲン像)

足の指節骨(Phalanges)は手の指節骨と非常によく似ている。そのため、両者の相違点を指摘するだけで十分である。各指節骨は(Basis)、(Corpus)、滑車(Trochlea)、爪粗面(Tuberositas unguicularis)をそれぞれ1つずつ持っている。

第2〜第5指の3つの指節骨は、手の対応する指節骨よりもはるかに小さい。一方、母指の2つの指節骨は手の母指のものよりも発達している。第2〜第5指では、基節骨(Phalanx proximalis)の体が中央部で両側から圧迫されて薄くなっている。中節骨(Phalanx media)は特に第4・第5指で非常に短く、小指では中節骨と末節骨が融合して1本の骨になることもある。末節骨(Phalanx unguicularis)は多くの場合、中節骨よりやや大きい。

種子骨(Ossa sesamoida):第1中足指節関節の下面には2つの種子骨が並んでおり、これらは第1中足骨の小頭の溝の中で動く。他の指の対応する関節にも、より小さい種子骨が時々見られる。また、上述の母指の2つの種子骨の間に、さらに第3の小さい種子骨が存在することもある。

指節骨の融合:中節骨と末節骨の融合は第5指だけでなく、第4指にも見られることがある(Pfitzner)。いずれの指でも、この融合は胎生早期に起こるようだが、第5指の指節骨の融合も完全に固定した状態ではなく、全体の約3分の1にしか認められない。(Pfitznerによれば第5指の指節骨の融合は37%だが、日本人では長谷部・足立・中西らの研究を総合すると70〜80%となる。第4指でもPfitznerの1.6%に対し、長谷部は7.8%、中西は5.4%としている。中西一夫、十全会雑誌47巻1号、1942)Pfitznerによれば、足の骨格のほとんどすべての変異は、存在不定の痕跡的な骨格部分の状態か、現存する骨格部分の退化に関係しているという。

過剰足根骨(Ossa tarsi accessoria):足の骨格の変異は手の骨格の変異と比べて解釈や分類がはるかに難しい。多くの変異が「系統発生の繰り返し」(Palingenese)を表しているのか、病的状態を示しているのかが不明確だった。また、ある骨に余分な部分や突起がある場合、それを古い段階の遺残と考えるべきか、進化した形態と解釈すべきかが定まらなかった。Hasselwanderの研究がこの問題に解決をもたらした。距骨の過剰骨の少なくとも一部は、確かに軟骨性の独立した原基として形成され、後に周囲の骨に同化される。この同化された過剰骨の原基内に現れる(不定の)骨端および突出部の骨化中心が、本来属すべき距骨の基準部分("kanonische Elemente")と骨結合しない場合、これらの骨化中心は機械的要因で分離されることがある。つまり、これらの過剰骨は実際には分離した骨端の遺残である。ヒトの足における標準的な足根骨および中足骨の構成要素の概観はRK328(過剰足根骨の模型図)RK329(過剰足根骨の模型図)RK355(過剰足根骨の模型図)、356(足の骨格のレントゲン像) に示されている。

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RK328(過剰足根骨の模型図)

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RK329(過剰足根骨の模型図)

Dyre Trolle, Accessory bones on the human foot. Kopenhagen.-Virchow, H., Verh. physiol. Ges. Berlin.1901.-Hasselwander, Z. Morph. Anthrop.,12, Bd.,1909; Z. Konst.,8. Bd.,1921; Verh. anat. Ges.,1921;同じ著者,Morph. Jhrb.,90. Bd.,1950.

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[図353] 足の骨(右):足背面(6/7)

H. Virchow製作の標本。凍結骨格処理法を用いて、骨の自然な間隔と正確な位置関係を保持して組み立てられている。

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[図354]足の骨(右)足底面(6/7)

図353と同じH. Virchow作製の標本(凍結骨格処理法により、骨の相互の自然な間隔と正確な向きを保って組み立てられている)

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[図355](図328329を参照)  5 踵骨、7 二次立方骨(Cuboides secundarium)、8 外脛側骨(Tibiale externum)、9 舟状骨、10 底側第一楔状骨(Cuneiforme I plantare)、12 第二楔状骨、13a 鉤状突起(Processus uncinatus)、13 第三楔状骨、14 立方骨、15 腓側種子骨(Sesamum peroneum)、17 ヴェサリウス骨(Os Vesalianum)、18 第一中足骨の腓側部(Pars peronaea ossis metatarsalis I)、19~23 第一~第五中足骨(W. Pfitzner, 1901)

[図356] 足の骨格のレントゲン像

21歳の女性、内側から外側へ照射(2/3)