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片山正輝

目次(I.骨格系)

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基本構造

重要な構成要素

臨床的特徴

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RK216(**蝶形骨:**前方からの図)、217(**蝶形骨:**後方からの図)、218(**蝶形骨:**上方からの図)

蝶形骨は頭蓋底のほぼ中央に位置し、主に左右方向に伸びている。Corpusと3対の翼—大翼Alae magnae、小翼Alae parvae、および翼状突起Processus pterygoides—から構成される。

は6面を持つ立方体状の構造である。上面中央部には下垂体窩Fossa hypophyseosという左右に伸びた卵円形の深いくぼみがあり、下垂体が収まっている。下垂体窩とその前後の部分はトルコの鞍に似ているため、この構造全体をトルコ鞍Sella turcica, Türkensattelと呼ぶ。下垂体窩の前上縁には鋭い横走稜があり、これを鞍結節Tuberculum sellaeという。その側方には中鞍突起Processus sellae mediusという小突起があり、その存在や大きさには個体差がある。これらの前方には浅く広い視神経溝Sulcus fasciculi opticiがあり、視神経管Canalis fasciculi opticiに続く。視神経溝の前方には蝶形骨平面Planum sphenoideumがあり、蝶形骨縁Limbus sphenoideusという低い骨隆起が視神経溝との境界を形成している。下垂体窩の後方境界は斜めに突出した骨板である鞍背Dorsum sellaeで、その後方は斜台Clivusの最上部を形成している。鞍背の上隅には前外側方へ伸びる小棘があり、これを鞍背突起Processus dorsi sellaeという。

体の背面には幅広いS字状の頚動脈溝Sulcus caroticusがあり、後下方から前上方へ走っている。この溝は内頚動脈の通路となる。頚動脈溝の始点では、内側へ湾曲した骨小板である蝶形骨小舌Lingula sphenoideaが外側境界を形成している。

体の後面は粗面で、若年者では軟骨(蝶形後頭軟骨結合Synchondrosis sphenooccipitalis)により、成人では骨性に後頭骨体と結合している。

体の前面と下面:蝶形骨体には2つの大きな蝶形骨洞Sinus sphenoideiがあり、正中の蝶形[骨]洞中隔Septum sinuum sphenoideorumにより左右に分けられている。各蝶形骨洞は上方へ湾曲した三角形の薄い骨板である蝶形骨甲介Concha ossis sphenoidisにより前下方から部分的に覆われている。前方には円形の蝶形[骨]洞口Apertura sinus sphenoideiが開いており、これを通じて蝶形骨洞は鼻腔に開口する。