https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
(RK246(骨口蓋・切歯縫合・上歯列の咀嚼面) 、RK247(骨口蓋・切歯縫合・歯槽) 、RK248(**骨口蓋・切歯骨・乳歯・永久歯:**2歳児の頭蓋) 、RK249(**口蓋骨:**内方からの図)、250(**口蓋骨:**後方からの図)、251(**口蓋骨:**外方からの図)、252(**頬骨:**外方からの図)、253(**頬骨:**内方からの図) 、RK268(眼窩と上顎洞の内側面、翼口蓋窩) 、RK269(鼻腔(右)の外側壁) 、RK270(**鼻腔(右)の外側壁:**中鼻甲介および下鼻甲介の大部分を除去) )
口蓋骨は上顎骨の後方を補完し、骨口蓋の後部を形成するとともに、鼻腔の外側壁の一部も構成している。その形状は「L」字に酷似しており、水平と垂直の各1枚の板から成り、それに複数の突起が付随している。
水平な板は口蓋板Lamina palatinaと呼ばれる。その後縁は薄く尖って自由縁を形成し、骨口蓋の後方境界を成すとともに、軟口蓋(口蓋帆)の付着部ともなっている。
口蓋板の前縁は横口蓋縫合Sutura palatina transversaによって上顎骨の口蓋突起と結合し、内側縁は正中口蓋縫合Sutura palatina medianaによって対側の口蓋骨と結合している。口蓋板の鼻腔面Facies nasalisには、正中部で左右の口蓋板が結合する箇所に鼻稜Crista nasalisが鼻腔へ向かって突出している。鼻稜は後方で後鼻棘Spina nasalis posteriorという鈍い突起となる。外側で、口蓋板と上顎板の結合部に、口蓋板の下面に1本の溝があり、翼口蓋管Canalis pterygopalatinusの形成に寄与している。口腔に面する口蓋面Facies palatinaは凹凸があるのに対し、鼻腔に面する鼻腔面Facies nasalisは滑らかで、左右が隆起し中央が低くなっている。
垂直の板は上顎板Lamina maxillarisと呼ばれ、薄くて脆弱である。蝶形骨の翼状突起の内側面および上顎体の隣接部分に接している。
上顎板の内面、すなわち鼻腔面Facies nasalisは鼻腔に面しており、ちょうど中央の高さに水平方向の明瞭な隆起線が認められる。これが鼻[甲]介稜Crista conchalisで、下鼻甲介の付着部位である。
上顎板は鼻甲介稜より下方で、鉤状に外側へ折れ返って下後方へ向かう突起を形成している。これが上顎突起Processus maxillaris(RK249(**口蓋骨:**内方からの図)、250(**口蓋骨:**後方からの図)、251(**口蓋骨:**外方からの図)、252(**頬骨:**外方からの図)、253(**頬骨:**内方からの図) )で、上顎骨の上顎洞裂孔の下縁に嵌入しており(RK268(眼窩と上顎洞の内側面、翼口蓋窩) )、下鼻甲介の上顎突起とともに下鼻道の外側壁の一部を構成している(Elze)。
上顎板の外面、すなわち上顎面Facies maxillarisは上から下へ翼口蓋溝Sulcus pterygopalatinusによって貫かれている。この溝は上顎骨および翼状突起とともに翼口蓋管Canalis pterygopalatinusを形成する。上顎面はこの管より前方では上顎骨の鼻腔面に接して上顎洞裂孔を後方から狭めており、また管より後方では、下方で上顎骨の後縁と結合し、上方で翼状突起の内側面と結合している。さらに、この管のほぼ中央で1つの小孔が上顎板を貫いている。この孔は下鼻甲介より上方で鼻腔に開口し、その中を細い神経が通過している。
口蓋板の後外側隅で、上顎板は外側後下方へ向かう頑丈な突起を形成している。これが錐体突起Processus pyramidalisで、この突起には縦走する2本の粗な溝(内側翼突溝と外側翼突溝Sulcus pterygoideus medialis et lateralis、Elze)があり、その間に滑らかな浅い窪みを挟んでいる。
この窪みは頭蓋では蝶形骨の翼状突起の翼突切痕内に現れる。
また、縦走する粗な2本の溝は、翼状突起の内外両側板の凹凸のある前縁を受けている。したがって、上述の浅い窪みは翼突窩の底の一部を形成している。下方、口蓋板のすぐ脇に(通常2つの)小孔がある。これは小口蓋孔Foramina palatina minoraと呼ばれ、翼口蓋管から発する口蓋管Canales palatiniという細い管の開口部である。そのうち外側の小さい方は存在が不定である。小口蓋孔のすぐ前には翼口蓋管自体の大きな下口があり、大口蓋孔Foramen palatinum majusと呼ばれる。これは裂隙状を呈することもあれば、円形の孔のこともある。
上顎板の前部には前上方に角笛状の眼窩突起Processus orbitalisという突起が突出しており、これは多くの場合中空となっている。
眼窩突起は少なくとも5面を有している。そのうち上面と内側面が自由面を成し、前者は眼窩底の後内側隅を形成し、後者は翼口蓋窩に面している。他の骨と接合する面としては、前面は上顎骨に、内側面は篩骨に、後面は最も小さく蝶形骨甲介に結合している。この突起の基部において、その内面に沿って1本の鋭い隆起線が水平方向に走っている。これが篩骨稜Crista ethmoideaで、中鼻甲介の後端が付着する部位である。
上顎板の後部から蝶形骨突起Processus sphenoideusという板状の突起が後上内側方へ向かって伸び、蝶形骨の体と翼状突起の内側板の基部とに接している。またその自由面は一部が鼻腔に面し、一部が翼口蓋窩の底の形成に参加している。内側端は時に鋤骨にまで及ぶことがある。
これら2つの上方の突起は翼口蓋切痕Incisura pterygopalatinaという深い切れ込みによって互いに分けられている。この切痕は蝶形骨体によって狭められ、翼口蓋孔Foramen pterygopalatinumという翼口蓋窩から鼻腔に通じる重要な孔を形成している。
Elze, C., Zur Anatomie des Gaumenbeines. Z. Morph. Anthrop., 15. Bd., 1903.