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片山正輝

目次(I.骨格系)

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RK219(**篩骨:**左側面)、220(**篩骨:**後上方からの図)、221(**篩骨:**前方からの図) RK226(鼻中隔) RK268(眼窩と上顎洞の内側面、翼口蓋窩)RK269(鼻腔(右)の外側壁)RK270(**鼻腔(右)の外側壁:**中鼻甲介および下鼻甲介の大部分を除去)

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RK219(**篩骨:**左側面)、220(**篩骨:**後上方からの図)、221(**篩骨:**前方からの図)

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RK222(**下鼻甲介:**内側面)、223(**下鼻甲介:**外側面)

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RK224(**新生児の右側頭骨:**外側面)、225(**新生児の右側頭骨:**内側面)

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RK226(鼻中隔)

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RK268(眼窩と上顎洞の内側面、翼口蓋窩)

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RK269(鼻腔(右)の外側壁)

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RK270(**鼻腔(右)の外側壁:**中鼻甲介および下鼻甲介の大部分を除去)

篩骨は立方体に近い形の骨で、その大きさの割には非常に軽い。これは、薄い骨板の間に多数の空隙が存在するためである。篩骨は、正中部の垂直な板と、その側方にある2つの部分に区別される。これらは上方で、篩(ふるい)のように孔の開いた水平な板でつながっている。

正中部の板、すなわち正中板Lamina medianaは鼻中隔の上部を形成する。正中板の上縁は、前方で特に強く高まったトサカの形をなして頭蓋腔内へ突き出ており、これを鶏冠Crista galliという(図226)。鶏冠の前縁は垂直で、通常1本の溝をもち、下端は両側で翼突起Processus alarisという短い突起によって限られている。鶏冠の前縁とこの突起とで前頭骨の盲孔を覆い、盲孔はこのようにして形成される。

篩板Lamina cribriformisは鶏冠の両側にあり、その上に脳の嗅球が位置する。篩板は多数の小孔で貫かれており、ここを嗅糸ならびに前篩骨動静脈および同名神経が通過する。

左右の側部、すなわち篩骨迷路Labyrinthi ossis ethmoidisには、壁の薄いかなり多数の空所が囲まれており、これを篩骨洞Sinus ethmoideiという。篩骨洞は前篩骨洞後篩骨洞Sinus ethmoidei anteriores et posterioresに分けられる。

左右各々の篩骨迷路の外側面は、その一部が薄い滑らかな骨板で覆われており、これを眼窩板Lamina orbitalisまたは紙様板Lamina papyraceaという。しかし、篩骨迷路は前方では紙様板で覆われておらず、ここでは涙骨と上顎骨の前頭突起とに覆われる。篩骨迷路の前下方部からサーベル形に湾曲した長くて薄い骨板が伸びている。これが鈎状突起Processus uncinatusで、後下方へ伸びて上顎洞への入り口を一部閉鎖している。またその後下端は下鼻甲介の篩骨突起に達して、しばしばこれと骨性に結合している(RK270(**鼻腔(右)の外側壁:**中鼻甲介および下鼻甲介の大部分を除去))。

篩骨迷路の内側面は鼻腔の外側壁の形成に関与している。この面は複数の溝のある、凹凸の激しい薄い骨板からなり、上方では篩板につながって、嗅糸とその枝の通る多数の管や溝をもっている。この面の後半分には1本の深い溝がある。これが上鼻道Meatus nasi superior, oberer Nasengangで、ここに後篩骨洞が開口する。この溝の上へ突き出している低い骨稜は上鼻甲介Concha nasalis superior, obere Muschelで、その自由縁は角張った曲線を描いている。中鼻甲介Concha nasalis media, mittlere Muschelは中鼻道Meatus nasi medius, mittlerer Nasengangの天井をなしている。中鼻道の前方部分から篩骨漏斗Infundibulum ethmoideumというロート状の道が、鈎状突起と篩骨胞の間を経て、上顎洞および(50%において)前頭洞に通じている。

篩骨漏斗が鼻腔へ開口する部分を半月裂孔Hiatus semilunarisという。前篩骨洞もここに開口する。

上鼻甲介のさらに上方後部に小さな甲介が存在することがあり、これを最上鼻甲介Concha nasalis supremaという。単独の骨として分離された篩骨では、環状に配列した篩骨洞全体が外部に開放している。つまり、眼窩板(紙様板)で覆われていない部分では、篩骨以外の頭蓋骨が篩骨洞を覆っているのである。前篩骨洞と後篩骨洞は開口部の位置で区別され、前篩骨洞は中鼻道に、後篩骨洞は上鼻道に開口する。前篩骨洞の中でも、位置と大きさから特別視される篩骨胞Bulla ethmoideaは、鈎状突起の後稜と向かい合っている。

眼窩板(紙様板)の上縁には2つの溝があり、前頭骨とともに眼窩頭蓋管Canalis orbitocranialisと眼窩篩骨管Canalis orbitoethmoideusを形成している。これらの管が眼窩へ開口する部分を篩骨孔Foramina ethmoideaという。

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[図219221] 篩骨(9/10倍)

図219は左側面、図220は後上方、図221は前方からの視点を示している。

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[図222,223] 左の下鼻甲介(9/10倍)。図222は内側面、図223は外側面を示す。

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[図224,225]新生児の右側頭骨(1/1)。顔面神経管にゾンデを挿入してある。図224は外側面、図225は内側面を示す。

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[図226] 鼻中隔(4/5)—青色部分は軟骨