呼吸に寄与する肋骨運動は挙上と下制である。肋骨の挙上に伴い肋軟骨が伸長し、それによって胸骨が前方へ移動する。肋骨の挙上と胸骨の前方移動の両者が胸郭を拡張させる。

肋骨の挙上は、小頭関節と肋横突関節に共通する1本の軸を中心とした肋骨の回転によって生じる。つまり、これら両関節は一種の複合関節を形成しており、力学的には肋骨後端の1個の回旋関節として機能するのである。

その回転軸は肋骨頚の縦軸に一致し(R. Fick)、後外側に向かっている。これらの関節の関節面は小さいにもかかわらず、肋骨前端における運動の幅が非常に大きい。これは肋骨が非常に長いためであり、小頭と頚の小さな運動が前端では大きな移動として現れるのである。

この運動に伴い、肋軟骨が胸骨に対して、前額方向の軸を中心としてねじれる。

第11および第12肋骨は、わずかながら後方へも動くことができる。