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目次(III. 脈管系)

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(RK675(**臀部と大腿の動脈(右):**後面)RK677(**膝窩と下腿の動脈(右):**後方からの図) )

この動脈は内転筋管の下端から膝窩筋の下縁まで伸びており、そこで前脛骨動脈と後脛骨動脈に分岐する。

**局所解剖:**この動脈はまず大腿骨の内側面から下方かつ外側に向かって膝窩の中央部まで急角度で下降し、その後ほぼ垂直に膝関節の中央部後方を通り、分岐部まで下行する。全経路を通じて非常に深部を走行し、その起始部は半膜様筋によって後方から覆われている。膝関節部では関節包の後壁に密接し、筋に覆われていない。それより下方ではかなりの長さにわたって腓腹筋の下に隠れ、さらにその下部はヒラメ筋の上縁によっても覆われる。

この動脈は膝窩静脈の後方でやや外側に位置する。脛骨神経はそれより浅層でさらに外側にあり、膝窩筋膜のすぐ下に存在する。ただし、膝窩の下部では、この神経は完全に膝窩動脈の内側に位置する。総腓骨神経は大腿二頭筋の膝窩縁に沿って腓骨頭に達している。

**神経:**この動脈の外膜には膝窩神経叢があり、そこに脛骨神経から2本の小枝が入っている(HahnとHunczek)。

膝窩動脈の枝には筋枝と関節枝の2種類があり、筋枝はさらに上部と下部に分けられる。

上部の筋枝は膝の屈筋の下端部、広筋群、および大内転筋の後下部に分布するが、その数は一定ではない。これらは穿通動脈とも結合する。

下部の筋枝は腓腹動脈Aa. suralesと呼ばれ、それぞれ1本の内側枝と外側枝を持つ。いずれもかなり太く、膝関節の後方で膝窩動脈の後壁から始まり、各々2本の枝に分かれる。これらの枝のうち深枝は腓腹筋内に入り、他の2本は細長い枝となって下腿後面をかなり遠くまで下行し、主に筋膜と皮膚内で分枝する。

関節枝は通常5本ある。

a) 脛側近位膝動脈A. genus proximalis tibialisは、大腿骨の内側顆の上方で大内転筋の腱と内側広筋の腱の下を通り、骨に沿って前方に回り、膝関節動脈網に至る。

b) 腓側近位膝動脈A. genus proximalis fibularisは、大腿骨の腓側顆の上方で大腿二頭筋の下を前方に進み、膝関節動脈網に至る。

c) 中膝動脈A. genus mediaは膝窩の高さで始まり、膝関節包の後壁に入り、十字靱帯および滑液膜ヒダに枝を与える。

d) 脛側遠位膝動脈A. genus distalis tibialisは、脛骨の内側顆の下方で内側側副靱帯に覆われて膝関節動脈網に進む。

e) 腓側遠位膝動脈A. genus distalis fibularisは、腓腹筋の脛側頭の下、次いで大腿二頭筋頭の腱と腓側側副靱帯の下を骨に密接して外側に走り、腓骨小頭の上方で腓側半月に沿って膝の前面に至り、膝関節動脈網に入る。

**膝窩動脈の変異:**既述の通り、まれに内腸骨動脈から起こる。また、時に高位で2本の終枝に分岐する(ヨーロッパ人で9.7%、日本人で2.7%、Adachi)。稀に(1.5%、Adachi)膝窩動脈が3本の終枝、すなわち後脛骨動脈、前脛骨動脈、および腓骨動脈に分かれる。後脛骨動脈が欠如し、代わりに分岐部から腓骨動脈が出ることがある。

中膝動脈は腓側近位膝動脈の枝となることが非常に多い。

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