毛細リンパ管(Lymphkapillaren, Lymphröhren)は毛細血管に相当するが、通常それより広く、同じく1層の薄い内皮からなる管である。内皮細胞は正多角形または不正多角形の輪郭を持ち、縁が湾曲またはギザギザしていることがある。長軸が管の長軸と平行に配列している(RK702(リンパ管の内皮) )。毛細血管の内皮細胞と同様に小口(Stomata)が見られ、同じ機能を持つ。全ての二次リンパ管は当初内皮の管から成るが、太いリンパ管では壁の層が増加し、より強固になる。かなり太いリンパ管(直径2mm以上)の壁は血管壁と同様に3層構造である。内膜は内皮細胞と縦走する細い弾性線維網から成る。中膜には横走する平滑筋細胞と少量の弾性線維がある。外膜には縦走する結合組織束と弾性線維、そして縦走する平滑筋束がある(RK715(リンパ節(耳下腺の):37歳男性) )。

静脈と同様に、ほとんどのリンパ管の幹にはがあり、これは内膜のヒダである。弁の形は静脈の弁と同じだが、はるかに繊細で薄い。通常、2枚の帆状弁が向かい合っており、その付着部でリンパ管の壁は外方へ膨らんでいる。その役割は静脈の場合と同じで、遠心方向への流れを阻止し、求心方向への流れを促進する(RK703(リンパ管の弁))。

リンパ管の弁は互いにかなり近接しており、静脈の場合よりも密集している。そのため、リンパ管に液体が充満すると、弁の位置に応じて膨らみができ、数珠のような外観を呈する。細いリンパ管の幹では、弁がおよそ2~3mmの間隔で存在する。

比較的太い幹では、その間隔が6~12mmとなり、胸管では数cmにもなる。特にリンパ管がリンパ管に開口する箇所だけでなく、リンパ本幹が静脈に移行する部分も必ず弁によって保護されている。時折、リンパ管の途中にある弁の高さが低くなっており、リンパの流れが逆方向にも容易に通過できるようになっている。毛細リンパ管および非常に細いリンパ管の幹には弁が全くない。最も細いリンパ管の幹では、その壁に多数の小さな突出部があり、時にはこれが輪状を形成することもある。

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[図702]リンパ管の内皮

イヌの胃粘膜から(Disse)

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[図703]リンパ管の弁(Valvulae vasorum lymphaceorum):切開して広げた状態。(Sappeyによる)