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I. 脳部 Pars encephalica
中脳部Pars mesencephalica:中脳から発する節前線維は動眼神経を通り、毛様体神経節の短根を経てこの神経節に達する。その節後線維(Postganglionäre Fasern)は、Fibrae musculares intrabulbares(眼球内部の筋への線維)として短毛様体神経を通って瞳孔括約筋と毛様体筋に達する。(注:JNAでは副交感神経線維がRamiと誤解を招きやすい名称で呼ばれているが、ここでは線維Fibrae, Fasernと呼ぶ。)
菱脳部Pars rhombencephalica:延髄の節前線維は顔面神経・舌咽神経・迷走神経に沿って走行する。
顔面神経に沿う線維は橋の唾液核Nucleus originis salivatorius pontis(中間神経の分泌核Nucleus secretorius n. intermedii)から発し、以下の経路をたどる:
大浅錐体神経内を大浅錐体神経の涙腺線維Fibrae lacrimales n. petrosi superficialis majorisとして進み、翼口蓋神経節に達する。この神経節から出る節後線維は涙腺、鼻腔、咽頭粘膜に分布する。
鼓索神経内に含まれる鼓索神経の腺線維Fibrae glandulares chordae tympaniは、顎下神経節と舌下神経節に達する。これらの神経節から発する節後線維は顎下腺、舌下腺、舌前方部、口腔底に分布する(図499(味覚伝導の経路、涙腺と唾液腺への神経伝導の経路) )。
舌咽神経の節前線維は延髄の唾液核Nucleus originis salivatorius medullae oblongatae(舌咽神経の副起始核Nucleus originis accessorius n. IX)から発し、舌咽神経の腺線維Fibrae glandulares n. IX として鼓室神経と小浅錐体神経を通って耳神経節に達する。その節後線維は耳下腺に達する(図499(味覚伝導の経路、涙腺と唾液腺への神経伝導の経路) )。
迷走神経N. vagusに沿って走る節前線維は迷走神経背側核Nucleus originis dorsalis parasympathicus n. vagiから発し、この神経の支配下にある諸器官(心臓・肺・胃・脾臓・膵臓・腎臓・腸)内部の諸神経節に達する。ここから節後線維が始まる。ただし、肺と心臓には胸髄由来の脊髄性直接線維direkte Fasernも到達しており(イヌでBraeuckerにより証明)、また腰髄からは腎臓への脊髄性直接線維が出ている(EllingerとHirt)。
II. 脊髄部 Pars spinalis
脊髄から発する副交感線維は後根を通って進み、主に血管拡張作用と立毛作用を司る。特に重要なのは仙髄部Pars sacralisで、仙髄から発する節前線維は第1~第3仙骨神経を通って直腸神経叢の神経節に達する。その節後線維は下行結腸・直腸・膀胱・生殖器に分布する。
Hirtは諸器官の交感神経線維と副交感神経線維の起始および走行を一目で把握できる一覧表を発表している(Schweizerisches med. Jahrbuch 1931)。また、ThörnerはDie med. Welt 1936に機能面に基づいてまとめた表を掲載している。