不動結合においては、結合する骨の間の運動性は極めて限られている。

不動結合は、使用される結合物質の種類によって以下の型に分類される:

  1. 骨結合Synostosis, Knochenhaft:骨組織による結合。成人の仙骨における各仙椎の結合や、側頭骨・前頭骨・後頭骨の諸部分と蝶形骨との結合などがこれにあたる。
  2. 軟骨結合Synchondrosis(および線維軟骨結合Symphysis), Knorpelhaft:軟骨組織(硝子および線維軟骨)による結合。骨端軟骨結合Synchondrosis epiphyseosや蝶形後頭軟骨結合などが例として挙げられる。

関節の解剖学と力学について参照すべきものは、R. Fick『Handbuch der Anatomie und Mechanik der Gelenke』I. Teil. Anatomie der Gelenke. Jena 1904. II. Teil. Allgemeine Gelenk- und Muskelmechanik. Jena 1910. III. Teil. Spezielle Gelenk- und Muskelmechanik. Jena 1911.―Strasser『Lehrbuch der Muskel- und Gelenkmechanik』4 Bde., Berlin 1908~1917.――Knese, Gelenkstudien I, II, III. Z. Anat. Entw. 115. Bd. 1950.(原著註)

線維軟骨結合(Symphysen、単にFugenともいう)は線維軟骨で構成されるが、Fickによれば、これと硝子軟骨を含む本来の軟骨結合との区別は明確ではない。胸骨と第1肋骨の間の軟骨結合を除き、純粋な硝子軟骨のみによる軟骨結合は存在せず、常に線維軟骨が混在するためである。

  1. 靱帯結合Syndesmosis, Bandhaft:膠原線維または弾性線維による結合で、以下の種類がある:

a) 強靱靱帯結合Straffe Bandhaft:膠原線維性の強固な結合組織による結合。鎖骨間靱帯・茎突舌骨靱帯などがその例である。

b) 弾性靱帯結合elastische Bandhaft:弾性組織による結合。脊柱の弓間靱帯などがこれにあたる。

c) 縫合Sutura, Naht:隣接する2つの骨縁が薄い結合組織板によって連結される。

縫合は、向かい合う骨縁の形態により次の4種類に分類される:

α) 鋸状縫合Sutura serrata, Zackennaht:多くの頭蓋骨間に見られる。骨縁に鋸歯状の凹凸があり、対向する骨の相補的な凹凸とかみ合う。

β) 鱗状縫合Sutura squamosa, Schuppennaht:両骨の辺縁が薄く尖り、鱗のように重なり合う。側頭鱗と頭頂骨の結合がその典型例である。

γ) 平滑縫合Sutura plana, Glattnaht:平滑な骨縁同士が接合する。涙骨と篩骨の紙様板との縫合などに見られる。

δ) 釘植Gomphosis, Einzapfung(γόμφος=釘):歯根の歯槽内での固定に見られる結合様式である。