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目次(VI. 感覚器)

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基本構造

細胞構成

特殊構造

嗅覚器は鼻粘膜の嗅部(Regio olfactoria)からなる。

また、鋤鼻器(Organon vomeronasale)、別名ヤコブソン器官(Jacobsonsches Organ)も存在する。両者とも鼻腔内に位置するが、鼻腔と副鼻腔については既に内臓学で述べた。ここでは、鼻粘膜嗅部の位置、範囲、構造、および中枢神経系との連絡に焦点を当てる。

嗅部の粘膜は主に上鼻甲介と、それに向き合う鼻中隔部分に限局している。嗅部粘膜は特徴的な黄褐色を呈し、この色調によって赤みがかった呼吸部(Regio respiratoria)と視覚的に区別できる。嗅部粘膜の範囲は個体差があり、上鼻甲介のみに限局する場合もあれば、中鼻甲介にまで及ぶこともある。新生児では特に、黄色調が上鼻甲介から中鼻甲介へ広く分布することが多い。嗅部粘膜は特殊感覚装置を有するだけでなく、単純な知覚神経の終末も含んでおり、後者は呼吸部全域にも分布している。

左右の上鼻甲介と鼻中隔に広がる嗅上皮(Riechepithel)の全面積は、ある例では約500平方ミリメートルとされた。その内訳は片側で側壁に124、中隔に133平方ミリメートルであった。別の例では、嗅上皮の面積は約480平方ミリメートルで、各側の中隔に99、側壁に139平方ミリメートルであった。この例でも嗅粘膜は上鼻甲介にのみ存在し、甲介の下縁には嗅粘膜は見られなかった。嗅上皮は斑点状の線毛上皮部分を取り囲む傾向が強く、孤立した小さな嗅上皮の島(Riechinseln)も観察される。線毛上皮の島の中に小さな嗅上皮の島が存在することもある。(A. v. Brunn, Arch. mikr. Anat., 39. Bd., 1892)

ヒトの嗅上皮の厚さは平均0.06mmで、呼吸部上皮とほぼ同じである。

嗅上皮には表面から結合組織まで達する2種類の細長い細胞があり、嗅細胞(Riechzellen)と支持細胞(Stützzellen)と呼ばれる。これらの基底部には第3の細胞型である補充細胞(Ersatzzellen)が存在する(図595(ヒトの嗅部粘膜(横断面))図596(A. 嗅粘膜の上皮、B. 嗅部の縁における線毛上皮細胞)、597(ヒトの嗅部の神経上皮)、598(ヒトの単一嗅細胞))。