(RK667(尾骨動脈糸球))

尾動脈は最終的に、左右の前仙尾筋の腱が尾椎先端で合する部位に進入し、腱間の隙間で糸玉状に強く膨らむ。これが尾骨動脈糸球 Glomus coccygicum の主要構造である。

通常、主要な小結節の周囲にはより小さな副小結節が複数存在する。

Schumacher の研究(Arch. mikr. Anat., 71. Bd., 1908)によれば、尾骨動脈糸球は動静脈吻合の一種である。これは流入動脈、特殊な壁構造を持つ吻合血管の糸球状塊、および流出静脈から構成される。この静脈は中仙骨静脈に開口している。

糸球に出入りする動脈と静脈は非常に薄い筋層しか持たない。糸球を形成する血管壁は内皮管と数層の円形細胞からなり、その間に結合組織線維が存在する。

Schumacher はこの細胞を平滑筋細胞の変形と考えたが、Krompecher(Verh. Anat. Ges. 1932)はそれに対し、出生後も残存する血管芽細胞だと主張している。糸球の血管を束ねる結合組織内には平滑筋細胞束が観察される。

667.png

[図667] 尾骨動脈糸球(Glomus coccygicum)

尾椎前面の図(Luschkaによる)