https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
(図605(右眼球の断面図)、図606(右眼の水平断面と眼軸) )
眼球はほぼ球形だが、完全な球形ではない。このずれの主な原因は、角膜の曲率半径(7.75mm)が強膜のそれ(12.70mm)より小さいことにある。角膜という小さな前部は、大きな後部と強膜溝Sulcus scleraeという浅い輪状の溝で区切られている。前部はほぼ球面の一部だが、後部は鉛直方向にやや扁平な楕円体に近い。つまり、「角膜と強膜が一体となって中空の球を形成し、その球には強膜溝に相当する浅いくびれがある」と言える。
この球には、地球と同様に方位を示す前極Polus anterior, vorderer Augenpolと後極Polus posterior, hinterer Augenpol、赤道Aequator, Aquator、そして極から極へ走る経線Meridiani, Meridianlinienが想定される。特に水平と鉛直の経線が重要である。
前極は角膜前面の中央に、後極は眼球後部の中央にある。両極を結ぶ矢状方向の線を外眼球軸Axis oculi externus, [äußere]Augenachseという。一方、内眼球軸Axis oculi internus, innere Augenachseは、角膜後面の中央から網膜内面の後極対応点までの直線である。
外眼球軸の平均は24.27mm、内眼球軸は21.74mmである。横径(左右径)は24.32mm、鉛直径(上下径)は23.60mmである。(日本人の場合、越智貞見(日眼会誌、21巻3号、1917)によると、外眼球軸は24.22mm(男24.37mm、女23.83mm)、横径23.81mm、鉛直径23.79mmである。)
視軸Axis opticus, optische Augenachseは上記の2つの眼球軸と一致する。一方、視線Linea visus, Sehlinieはこれらの軸と一定の角度をなし、眼を光学レンズとして考える際の節点を通り、中心窩に達する(図606(右眼の水平断面と眼軸))。
眼球は非対称で、内側半が外側半より小さい。さらに特徴的なのは、眼球と視神経の接続位置である。両者は眼球の後極ではなく、その3〜4mm内側で結合している。視神経の軸は眼球軸と20°の角度で交わっている。
角膜頂(角膜の前面の中央)から水晶体の前面までの距離は4mmである。そのうち3mmは前眼房の奥行きに相当する。水晶体の前後軸も4mmである。水晶体から網膜までの距離は14.5mmで、後極における3つの眼球膜の厚さは合計2mmである。
両眼間の距離は56~61mmである。(日本人の瞳孔間距離は、足利によれば58~61mm、小松(日眼会誌47, 1943)によれば成人男子63mm、女子61mmである。)
眼球の重さは6.3から8gの間で、体積は6cm³である。比重は1.022~1.030である。(日本人の正常な眼球の重さは5.6~9.3g、平均で男7.52g、女7.17g。容積は男7.31cm³、女7.05cm³、比重は1.026である。(越智貞見、日眼会誌21巻3号、1917))
新生児では、L. Weissの計測によると平均2,290mgで、体積は2,189mm³であった。Sappeyによれば女性の眼球の直径は男性に比べてやや小さいというが、この差異は極めて微小か、あるいは全く存在しない。特に角膜の湾曲および大きさは、男女間でほぼ同じである。
新生児の眼球軸は17.5mmである。子供の眼は生後1年間で著しく発育する。その後、思春期までの成長は緩やかだが、思春期から急速に最終的な大きさに達する。角膜はすでに生後3年で最終的な大きさに達している。