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膀胱は下方で尿道の始まりに、男性では同時に前立腺に付着しています。そこには骨盤筋膜に属する特別な靱帯、恥骨前立腺靱帯Ligg. puboprostatica(恥骨膀胱靱帯Ligg. pubovesicalia)があります。膀胱頂からは平滑筋を含む靱帯が臍に向かって走っており、これを尿膜管索Chorda urachiと呼びます。また側方では、すでに閉鎖した臍動脈、つまり臍動脈索Chorda a. umbilicalisが支えています(図166(十二指腸・膵臓・脾臓および後腹壁の諸器官の自然な位置を示す図)、図350(女性の腹膜の走行の模式図))。
図166(十二指腸・膵臓・脾臓および後腹壁の諸器官の自然な位置を示す図)
膀胱の位置を維持する構造には、膀胱に接する骨盤の結合組織である膀胱傍結合組織Paracystiumのほか、骨盤内筋膜Fascia intrapelvinaと腹膜があります。腹膜は膀胱の後面の大部分を被い、そこから骨盤の側壁、女性の内部生殖器、および直腸へと続いています。さらに、左右の尿管および膀胱の血管も膀胱の位置の固定に寄与しています。
尿膜管索Chorda urachiは結合組織と、特に膀胱に近い部分では平滑筋からなる索状構造です。膀胱頂から白線と腹膜の間を臍に向かって進み、臍の結合組織と融合します。尿膜管Urachusは胎児発生の途中で膀胱と尿膜をつなぐ管でしたが、後にもその形がしばしば管としての特徴を残し、かなり長い管の形をしていたり、途中が所々途切れていたりします。この管はさまざまな形の膨らみと不規則性を持ち、膀胱に似た上皮で覆われています。時折、小さな開口部を通じて膀胱腔と通じることもあります。まれに尿膜管が臍まで開いたままで、尿の一部が臍から流出することがあります。
膀胱の前面は腹膜に覆われておらず、疎性結合組織と脂肪組織によって骨盤の前壁につながっています。膀胱が完全に充満したときには、腹膜を傷つけることなく恥骨結合の上方から開くことができます(図266(男性骨盤の正中断面))。
後面は大部分が腹膜で覆われていますが、腹膜が子宮か直腸に折れ返るところから先の膀胱底は腹膜を欠いています。女性の場合、膀胱のこの部分は強靱な結合組織によって子宮頸および膣の前壁と密接しています(図276(女性骨盤部の正中断面))。一方、男性では後方の隣接器官として直腸がありますが、両者の間には左右に精管の膨大部、およびその外側に精嚢腺が介在しています。精嚢腺の下端は前立腺に達しています(図262(男性の骨盤内臓器)、図266(男性骨盤の正中断面)、図270(男性の膀胱、尿管、精嚢、前立腺、尿道:後方からの図))。