https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
I. 嗅糸Fila olfactoriaは嗅球から出て硬膜の鞘に包まれ、篩骨の篩板の多数の孔を通り、鼻腔の内側壁と外側壁に達する。
II. 終神経N. terminalisは嗅球の後方から出る。これは篩板の孔の1つを通って頭蓋腔を去る。
視神経Fasciculus opticus, Augenstiel(これは脳神経ではなく、中枢神経内の1結合束である)は眼動脈を被いつつ視神経管を通って眼窩に達する。
III. 動眼神経N. oculomotoriusは鞍背突起の外側縁に向かって、脳硬膜の動眼神経孔Porus oculomotoriiに入る。この孔は脳硬膜のつくる外側錐体床突ヒダPlica petroclinoidea lateralisの内側壁にあり、動眼神経はこの孔から上眼窩裂を経て眼窩に入る。
IV. 動眼神経孔の後方1cmのところで硬膜に狭い滑車神経孔Porus trochlearisがあり、外側錐体床突ヒダがこの孔をやや覆うような形をしている。滑車神経はこの孔を通って眼窩に達する。
V. 滑車神経孔の後方1cmのところに広い三叉神経孔Porus trigeminiがあり、これは半月神経節腔Cavum ganglii semilunarisに続いている。この孔を三叉神経の両根が通り、半月神経節腔内で半月神経節を形成している。三叉神経孔は内側錐体床突ヒダの下方で小脳天幕の内側部の下にある(図445(小脳天幕と大脳鎌))。半月神経節腔は硬膜とクモ膜によって作られた扁平な嚢の内部にある空間である(6. 脳の被膜,髄膜 Meninges参照)。
VI. 外転神経N. abducens。三叉神経孔の内側かつ後方5mmのところで斜台の範囲に小さい外転神経孔Porus abducentisがあり、これは側頭骨錐体尖の内側で前3者よりもさらに正中面に近く存在する。
VII. およびVIII. 顔面神経N. facialisと内耳神経N. statoacusticusはクモ膜とともに硬膜に被われた内耳孔と内耳道に入る。
IX., X. およびXI. 舌咽神経N. glossopharyngicus、迷走神経N. vagusおよび副神経N. accessoriusは頚静脈孔の前方部、すなわち神経部Nerven-Abteilungに達する。そこでは舌咽神経が1つの特別な硬膜鞘をもち、迷走神経と副神経は共通の硬膜鞘をもつ。
XII. 舌下神経N. hypoglossusは通常かなり大きな2つの束に分かれて舌下神経孔Porus hypoglossiに入り、それに応じて舌下神経孔はしばしば重複している。これは後頭骨の舌下神経管の内口に相当する。
[図511] 頭蓋腔の位置(4/5)
[図512] 眼窩の神経:上方から剖出した図(1/1)
[図513] 右眼窩の神経:外側から見た図(3/4)
(HirschfeldとLeveilléによる)
眼窩の外側壁は除去されている。外側直筋は切断され、その後方断端が下方に折り曲げられている。