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目次(IV. 内臓学)

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図076(舌および咽頭の筋(I))

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図085(咽頭の諸筋)

1. 喉頭咽頭筋M. laryngopharyngicus, unterer Schlundschnürer(下咽頭収縮筋)

この筋は2つの部分から構成される。輪状咽頭部pars cricopharyngicaは輪状軟骨の外面から起こり、甲状咽頭部Pars thyreopharyngicaは甲状軟骨の斜線およびその隣接する縁から起こる。さらに、これら2つの軟骨間の靱帯束からも起始する。この筋は後方へ扇状に広がり、対側の筋と後方正中線で合して咽頭縫線Rhaphe pharyngis(図085(咽頭の諸筋))を形成する。この縫線の形成には他の咽頭収縮筋も関与している。

下部の線維束は軽く下方に向かい、食道の上端部を取り囲んでいる。その上部の線維は傾斜を次第に増して上方へ進み、舌骨咽頭筋を被っている。時として上部の線維が尖った形で頭蓋底まで達する。

この筋の外面は喉頭の外側で甲状腺・頚動脈・胸骨甲状筋に接している。胸骨甲状筋からは多くの場合、2、3の筋束が(斜線のところで)喉頭咽頭筋に移行している。上下の喉頭神経がこの筋の上下の両縁に接して通る。すなわち、上喉頭神経はこの筋と舌骨咽頭筋との間を、下喉頭神経はこの筋と食道との間を通っている。

2. 舌骨咽頭筋M. hyopharyngicus, mittlerer Schlundschnürer(中咽頭収縮筋)

この筋は前者よりもさらに発達しており、舌骨の大角から起こる大角咽頭部Pars ceratopharyngica、小角からの小角咽頭部Pars chondropharyngica、および茎突舌骨靱帯から起こる部分がある。中部の線維は横走しており、その上方に続く線維は次第に急な傾斜をなして上方に進み、その際頭咽頭筋を被って、しばしば頭蓋底まで達している。下部の線維は下方に進み、喉頭咽頭筋によって外側から被われる(図085(咽頭の諸筋))。

この筋と次に述べる頭咽頭筋の間を茎突咽頭筋と舌咽神経が通る(図076(舌および咽頭の筋(I))図085(咽頭の諸筋))。

3. 頭咽頭筋M. cephalopharyngicus, oberer Schlundschnürer(上咽頭収縮筋)

これには翼状突起の内側板の下部から翼突鉤にかけて起こる翼突咽頭部Pars pterygopharyngica、頬咽頭縫線からの頬咽頭部Pars buccopharyngica、下顎骨の顎舌骨筋線から起こる顎咽頭部Pars mylohyoidea、横舌筋の系統に続いている舌咽頭部Pars glossopharyngicaがある。

筋線維はこの4つの部位から起始し、後方に湾曲しながら進み、正中線で咽頭縫線を形成して左右のものが合する(図085(咽頭の諸筋))。この筋の上縁は口蓋帆挙筋と耳管に外側から接している。上縁の上方では咽頭頭底板Lamina pharyngobasialisが筋肉に覆われずに外から見える。

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[図86]咽頭と口蓋の諸筋および耳管咽頭腔側から剖出(5/7)。左側では口蓋帆張筋を示すため、耳管軟骨の下半分と咽頭挙筋の起始部を切除している。

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[図87]咽頭腔:咽頭の後壁を正中線に沿って切開し、頭蓋底との固着部を剥離。左右の咽頭壁を側方に展開して示す(5/7)。

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[図88]咽頭と食道の背面からの剖出図