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片山正輝

目次(V. 神経系)

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図573(交感神経系の頭部)

交感神経系の頭部に属する(副交感性の)神経節としては、その構造および発生から次のものが挙げられる:耳神経節Ganglion oticum、翼口蓋神経節Ganglion pterygopalatinum、毛様体神経節Ganglion ciliare、顎下神経節Ganglion submandibulare、舌下神経節Ganglion sublinguale。

交感神経系の頭部の詳細な構造は以下の通りである:

上頚神経節と舌下神経・迷走神経・舌咽神経との結合については既に述べた(551、552頁)。上頚神経節は2本の上方への枝kraniale Ästeを出し、その1本は太く、もう1本は比較的細い。細い方は頚静脈神経N. jugularisで、頚静脈孔の神経部に向かう。ここで2本の小枝に分かれ、1本は迷走神経の頚静脈神経節に、もう1本は舌咽神経の外神経節に達する。

上頚神経節から上方に出る太い方の枝は内頚動脈神経N. caroticus internusである。これは内頚動脈に伴って頚動脈管の中に入り、そこで内頚動脈を取り巻く内頚動脈神経叢Plexus caroticus internusを形成する。この神経叢は多くの脳神経と結合しており、以下のような接続がある:

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図515(上顎神経と翼口蓋神経節)

  1. 鼓室神経叢Plexus tympanicusとの1本または2本の結合枝、すなわち頚鼓神経Nn. caroticotympanici(図515(上顎神経と翼口蓋神経節) )。
  2. 深錐体神経N. petrosus profundus。これは内頚動脈神経叢の外側枝から出る。これを介して上頚神経節Ganglion cervicale cranialeを翼口蓋神経節Ganglion pterygopalatinumと結合させる。主に灰白線維(無髄)からなり、節間枝Rami intergangliaresすなわちZwischensträngeに分類される。
  3. 大浅錐体神経N. petrosus superficialis majorとの結合枝。これは頚動脈管の内口付近で大浅錐体神経に接着し、この神経に沿って後方へ走り、顔面神経管裂孔を通って顔面神経に達する。
  4. 外転神経N. abducensへの複数の結合枝。これらは外転神経が内頚動脈の外側壁に接して海綿静脈洞内を走行する間に到達する。
  5. 動眼神経N. oculomotoriusへの複数の小枝。
  6. 滑車神経N. trochlearisへの1小枝。
  7. 半月神経節Ganglion semilunareと三叉神経の第1枝(眼神経)へ至る細い結合枝。
  8. 毛様体神経節Ganglion ciliareの交感根Radices sympathicae。
  9. 下垂体Hypophysisへの枝。
  10. 内頚動脈自体への枝。この枝は内頚動脈の周りに繊細な神経叢を形成し、この血管の諸枝に沿って進む。

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[図573] 交感神経系の頭部(右側)

III、V、VII、IX、XIIは脳神経の番号を示す。

1 上頚神経節;2 下方の節間枝;3 上心臓神経;4および5 第2から第4までの頚神経との結合枝;6 第1頚神経および舌下神経と上頚神経節とを結合する枝;7 迷走神経(節状神経節)との結合;8 舌下神経との結合;9 頚静脈神経,それが舌咽神経(IX)および迷走神経(X)と結合することを示す;10内頚動脈神経;11頚鼓神経;12 鼓室枝;13 頚鼓神経;14 耳管枝;15 小浅錐体神経;16大浅錐体神経;17 膝神経節;18 翼突管神経;19 耳神経節;20 翼口蓋神経節;21 毛様体神経節;22 毛様体神経;23毛様体神経節の長根;24 毛様体神経節の交感根;25 3つの眼筋神経と三叉神経の第1枝(眼神経)とにいたる交感神経の小枝;26 眼動脈への交感神経の小枝;27下垂体と硬膜へいたる枝;28半月神経節への枝;29上喉頭神経への枝;30外頚動脈神経叢への枝;31咽頭枝;32および34 内頚動脈;33 眼動脈.