https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
基本構造と分類
構造的特徴
特殊な肋骨の特徴
変異と特徴
RK193(仙骨と尾骨の右側面図)、194(第1および第2肋骨(右)の上面図)、195(第11肋骨(下図)および第12肋骨(上図)(いずれも右)の下面図)
RK204(胸部脊柱レントゲン写真:腹背照射)、205(腰部脊柱レントゲン写真:腹背照射)
脊柱の頚部、腰部、仙部の肋骨痕跡については既述のとおりだが、胸部には胸肋骨Brustrippenが残存している。胸肋骨は左右対称に12対存在し、それぞれが発生段階の違いにより異なる形状を示す。脊椎と骨性に結合した肋骨痕跡が不動性であるのに対し、胸肋骨はすべて独立した可動性を持つ。肋骨痕跡も胸肋骨も形態学的には完全な肋骨だが、いずれも完全な輪を形成していない。
独立した肋骨のうち、上位7対のみが胸骨に達する。これらを胸骨肋Costae sternalesと呼び、残りの5対を弓肋Costae arcuariaeという。第8、9、10対は、その肋軟骨がそれぞれ上位の肋軟骨に鋭角をなして接し、結合組織で結合するため、付着弓肋Costae arcuariae affixaeと呼ばれる。
これに対し、第11および第12肋骨の軟骨は腹壁の筋層間で自由端として終わるため、浮遊弓肋Costae arcuariae fluctuantesという。第10肋骨も時に自由端で終わることがあり、その場合は第10浮遊肋Costa decima fluctuansとなる(日本人の肋骨の欧米人との比較については、喜々津恭胤『人類学雑誌』45巻第4付録、1930を参照されたい)。
各肋骨は骨質部分の肋硬骨Os costaleと、軟骨部分の肋軟骨Cartilago costalisから構成される。
各肋硬骨は男性の締め金に似た形状を示し、肋骨小頭の関節面Facies articularis capituli costaeを持つ。この面は第2から第10までの肋骨では、横走する1本の隆線である小頭稜Crista capituliによって上下に分けられ、椎体の上下の肋骨窩と接する。ただし、第1、第11および第12肋骨では小頭稜がなく、単一の関節面のみを有する。