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目次(IV. 内臓学)

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腹膜の微細構造は、本質的に他の漿膜と変わらない。臓側葉は平均45~67µm、壁側葉は90~130µmの厚さを持ち、結合組織性の基礎から成る。その線維束は様々な方向に走って交差し、豊富な弾性線維網を有する。この弾性線維網は壁側葉でより発達している。薄い基底膜上を1層の扁平上皮が覆い(RK053(ヒトの大網における腹膜上皮)、054(重層扁平上皮) )、これが漿膜Tunica serosaに滑らかさと光沢を与えている。横隔膜部では、この上皮に特殊な隙間状の小口があり、漿膜嚢の腔を深層のリンパ管につないでいる。他の部位では腹膜上皮は密着しており、隙間はない。

漿膜下組織Tela subserosaは疎であったり比較的硬い組織であったりするが、腹膜と諸器官の間を連結したり、腹膜の各葉同士を結合している。結腸、大網、網膜垂を除く臓側葉の下では、漿膜下組織はわずかしかないか、全く見られない。これらの例外的な部位では、脂肪層が顕著に発達していることがある。

平滑筋は重要な構成要素で、多くの腹膜のひだ内に存在し、特に子宮広間膜でよく発達している。そのため、子宮表面の筋層は完全にこの子宮広間膜の筋束の延長であると考える研究者もいる。

血管は全体的に乏しい。また、漿膜に属するリンパ管も存在する。神経はあまり豊富ではない。その起源は交感神経、腰神経叢および仙骨神経叢の交通枝、横隔神経に遡ることができる。Ramströmによると、前腹壁は第7~12肋間神経と第1腰神経、および腸骨下腹神経と腸骨鼠径神経からの枝を受けている。これらは血管神経として終わるもの、漿膜下にある細い無髄神経網に終わるもの、および棍状小体と層板小体をもって終わるものがある。横隔神経は前腹壁の腹膜の神経支配とは無関係である。

Dogielによると、壁側腹膜の神経は漿膜と漿膜下組織に分布している。その大多数は無髄線維で、少数が有髄線維である。無髄線維は血管に分布し、交感性神経細胞の小集団を持つ。有髄線維は知覚性で、漿膜下組織と漿膜において特殊な終末装置をもって終わる。この終末装置には2つの基本型がある:小体性の終末と小体を持たない終末分枝である。

漿膜では神経終末小体は極めて表層にあり、上皮のほぼ直下にあることも珍しくない。その構造には様々な形態が認められる(Ramström, Anat. Hefte 1908)。単純な根状小体から完全に発達した層板小体まで、多数の中間形が見られる。これらの終末小体には1本、あるいは大型のものでは2本の有髄神経線維が来ているだけでなく、常に淡色の交感性神経線維も来ている。この交感性線維は内棍全体にわたって分枝し、その終末小体で終わる。小体を持たない神経終末装置も、小体を持つものと同様に漿膜と漿膜下組織内に多数存在し、やはり上皮のすぐ下に達しうる。腹膜では上皮間に終わる神経は存在しないようである。