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眼瞼の動脈は内側眼瞼動脈Aa. palpebrales nasalesと外側眼瞼動脈Aa. palpebrales temporalesである。内側眼瞼動脈は通常、眼動脈の前方部から1本の共通小幹として、または眼角動脈から起こる。外側眼瞼動脈は涙腺動脈の枝で、内側眼瞼動脈より細い。これらの動脈が上眼瞼動脈弓Arcus tarseus superiorと下眼瞼動脈弓Arcus tarseus inferiorを形成する。両動脈弓は眼輪筋と眼瞼板の間を、眼瞼縁から近い位置で走行する(図652(ヒトの眼瞼と眼球前方部の正中矢状断面))。上眼瞼には(まれに下眼瞼にも)、眼瞼板の外縁近くにさらに外側の第2動脈弓がある。
眼瞼の静脈は、内側では上下眼瞼静脈Vv. palpebrales superiores, inferioresを介して眼角静脈または眼静脈に注ぎ、外側では浅側頭静脈に注ぐ(RK681(頭部の静脈(I):浅層の静脈))。
眼瞼結膜には内側および外側眼瞼動脈から結膜小枝Ramuli conjunctivalesが分布する。眼球結膜には毛様体小枝の結膜枝が分布し、これは生体眼で観察可能である。角膜縁では毛様体小枝から角膜辺縁係蹄網(図648(眼の血管の模型図))が形成される。
結膜の静脈は結膜静脈Vv. conjunctivalesで、眼瞼静脈および強膜上静脈Vv. episcleralesに注ぐ。
リンパ路についてはRK727(眼瞼、鼻、口唇、耳のリンパ管とその領域リンパ節)を参照されたい。
神経:涙腺神経N. lacrimalisは常に上下両眼瞼に枝を与える。上眼瞼では涙腺神経の枝が前頭神経の外側枝R. lateralis n. frontalisの枝と吻合し、上眼瞼の一部がこの2つの神経によって二重支配される。さらに内眼角から眼窩下神経N. infraorbitalisの枝が上眼瞼に入る。
頬骨顔面神経N. zygomaticofacialisも眼瞼の神経支配に関与する。滑車上神経N. supratrochlearisおよび滑車下神経N. infratrochlearisは内眼角で上下両眼瞼の内側部に枝を与える。
眼瞼縁の乳頭内には多数の棍状小体Endkolbenがある。眼瞼結膜の瞼板部ではそのひだ内に、眼球結膜では粘膜固有層内に棍状小体が存在する。棍状小体はどこでも表面近くに位置し、球状ないし楕円形を呈する。同様の棍状小体が角膜の血管領域(辺縁部)や眼球結膜にも存在する。一方、有髄知覚神経線維の一部は棍状小体に終わらず、上皮内に自由終末を形成する。さらに、無髄線維も結膜に存在し、マイボーム腺および血管に分布している。