https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html
呼吸器系は、可動性の高い胸腔内にある左右の肺、気管、および喉頭から構成されている。喉頭の上端は咽頭の前壁に開口し、咽頭を介して口腔および左右の鼻腔と連結している。さらに、口腔と鼻腔は体表に開口部を持つ(図084(顔面頭蓋、咽頭、喉頭の正中面やや外側での矢状断))。鼻腔・口腔・咽頭は上気道と呼ばれ、空気の通路としての役割に加え、他の重要な機能も担っていることに注意が必要である。
筋肉の作用により胸腔が拡張すると、外気が拡張中の肺内に流入し、肺は胸腔壁に密着したままとなる。この吸気(Einatmung, Inspiration)過程に続いて呼気(Ausatmung, Exspiration)が生じ、二酸化炭素と水蒸気を多く含む空気が再び排出される。また、呼吸は一定の程度で心臓への静脈血流にも影響を与える。肺は胸腔内で漿膜(左右の胸膜)に包まれているため、その運動が容易に行われる。
気管・喉頭・咽頭・鼻腔は、本来の呼吸器官である肺への空気の往復路であるが、それに加えて喉頭は特殊な発声器官としての機能を持ち、鼻腔壁の一部は嗅覚器という感覚器の一つとなっている。