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片山正輝

目次(V. 神経系)

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各脊髄神経からは1本の硬膜枝が出る。この硬膜枝は直ちに交感神経幹からの細い枝を受け取る。したがって、硬膜枝は脊髄性の1根(神経線維約50本)と交感性の1根(神経線維約100本)から構成される。この硬膜枝は椎間孔を通り、脊柱管内に逆行する。

硬膜枝は脊柱管内で直ちに太さの異なる2本の枝に分かれる。太い枝は脊柱管の前壁に沿って上行し、細い枝は下行する。これらの枝はそれぞれ隣接する硬膜神経N. meningicusの枝と合流し、左右各側に長く伸びる硬膜枝の係蹄Ansae meningicaeを形成する。これらの係蹄は脊柱の全長にわたって上下に並び、頭部まで続く腹側の縦の連鎖を生じる。この全体をPlexus meningicus ventralis(前硬膜神経叢)と呼ぶ。右側と左側の係蹄の凸縁は内側を向き、細い小枝で相互に結合している。脊柱管の後壁にも細い神経が広がっており、これは前述の硬膜枝か交通枝から分岐したものである。これらは上行枝と下行枝に分かれ、対側の神経と結合することもあり、Plexus meningicus dorsalis(後硬膜神経叢)を形成する。

頭蓋腔の壁における神経の分布も、概してこれと同様の規則に従う。これらの神経は、脳神経の項で既に述べた三叉神経の3本の枝、迷走神経、および舌下神経のそれぞれの硬膜枝Rami meningiciに相当する。これらにも交感神経の小枝が加わっている。