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RK726(頭部下部と頚部の主要リンパ管およびリンパ節)

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RK727(眼瞼、鼻、口唇、耳のリンパ管とその領域リンパ節)

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RK728(咽頭と食道の粘膜のリンパ管)、729(喉頭のリンパ管)

a) 頚部浅層のリンパ管は、一部は頭部浅層のリンパ管を受け入れ、主として外側浅頚静脈の周りに集まる。特に胸鎖乳突筋の下部後方で、浅頚リンパ節(Lymphonodi cervicales superficiales)とともに頚リンパ叢(Drosseladergeflecht)を形成する。

このリンパ叢から出るリンパ管は下深頚リンパ節に至る。

b) 頭蓋腔、側頭部、顔面(浅層と深層)(RK727(眼瞼、鼻、口唇、耳のリンパ管とその領域リンパ節))、咽頭(RK728(咽頭と食道の粘膜のリンパ管)、729(喉頭のリンパ管))、舌、喉頭(RK728(咽頭と食道の粘膜のリンパ管)、729(喉頭のリンパ管))のリンパ管、および深頚筋と深項筋のリンパ管は、頚部の太いリンパ本幹に集まる。そこで、この幹の両側にある20~30個の深頚リンパ節(Lymphonodi cervicales profundi)とつながり、頚リンパ叢(Drosseladergeflecht)を形成する。このリンパ節群は2部に分けられる:

  1. 上深頚リンパ節(Lymphonodi cervicales profundi craniales):10~16個(RK726(頭部下部と頚部の主要リンパ管およびリンパ節))で、頭蓋底から総頚動脈の分岐部まで並ぶ。
  2. 下深頚リンパ節(Lymphonodi cervicales profundi caudales または supraclaviculares、鎖骨上リンパ節):鎖骨まで伸びる(RK726(頭部下部と頚部の主要リンパ管およびリンパ節))。

これらのリンパ節の1つが胸鎖乳突筋の外側縁で触知される場合、臨床家によってウィルヒョーのリンパ腺(Virchowsche Drüse)と呼ばれる。

下深頚リンパ節は頭部と頚部のほぼすべてのリンパ管を受け取り、ここから出るリンパ管は各側で1本または複数に分かれた頚リンパ本幹(Truncus jugularis、Drosselstamm)となる。この本幹は右側では右リンパ本幹に、左側では胸管に開口する。

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[図728] 咽頭と食道の粘膜のリンパ管:食道は後正中線で切開されている。咽頭からのリンパの3つの流出経路は、図中の左上、左下、および梨状陥凹内の太い幹として示されている。咽頭に色素を注入し、深頚リンパ節と咽頭側方のリンパ節まで到達させている。(A. Most, 1901)

[図729] 喉頭のリンパ管(A. Most, 1890)

ただし、時として顎部下端の3本の太い静脈(鎖骨下静脈、内頚静脈、外側浅頚静脈)のいずれか1本に直接開口することもある。

咽頭のリンパ管は3か所でその壁から出る:

  1. 前下方:梨状陥凹から
  2. 後方:咽頭後壁から
  3. 側方:口蓋扁桃から

前下方の流出路は咽頭の喉頭部のリンパを導く。その幹は喉頭上部のリンパ管とともに舌骨甲状膜を貫いて深頚リンパ節に達する。

後方の流出路は咽頭の鼻部と口部の壁から来て、その幹は2か所で現れる:a) 後正中線、b) 後壁と側壁の移行部。両者とも咽頭後リンパ節と深頚リンパ節に向かう。

側方の流出路となる幹は口蓋扁桃で外に出て、顎二腹筋の後腹と舌下神経に覆われ、内頚静脈の前を外側に進み、深頚リンパ節に至る。

口蓋扁桃からの2~3本のリンパ管は、扁桃の外側面から出て咽頭壁を貫き、次いで茎突舌骨筋と内頚静脈の間で、常に内頚静脈の上、顎二腹筋の後腹に接して存在する1個の大きな上深頚リンパ節に至る。

喉頭のリンパ管は声帯靱帯の上では極めて少ない。声帯は上方と下方のリンパ分布区域の境界となる。上下両部は喉頭後壁のリンパ管によってつながる。

上方の区域から3~6本のリンパ管が出て、上喉頭動脈のすぐ前で舌骨甲状膜を貫き、上深頚リンパ節に達する。

下方の区域のリンパ管は前方にある少数の小幹をなし、輪状甲状靱帯を貫いて喉頭前リンパ節(Lymphonodi praelaryngici)に進む。このリンパ節は喉頭下部の前で、輪状甲状靱帯か輪状甲状筋の上、あるいは輪状軟骨そのものの上にある。そこからリンパの流れは深頚リンパ節に向かう。喉頭下部から後方に出る少数の小幹は輪状気管靱帯を通り抜けて気管リンパ節(Lymphonodi tracheales)に至る。

甲状腺のリンパ管は細かい網を作って個々の小胞を取り巻いている。これから出る幹の走行は血管の経路に相当し、上方と下方への経路がある。

上方の流出路は喉頭前リンパ節と上深頚リンパ節に進み、下方の流出路は気管リンパ節と下深頚リンパ節に至る。