https://funatoya.com/funatoka/Rauber-Kopsch.html

目次(VI. 感覚器)

funalogo.gif


基本構造

半規管と膨大部

神経終末領域

リンパ液系

695-697.png

図695(**骨迷路の鋳型:**左迷路の外方からの図)、696(**骨迷路の鋳型:**右迷路の内方からの図)、697(**骨迷路の鋳型:**左迷路の上方からの図)

698.png

図698(ヒト胎児(胎生5カ月)の右側膜迷路を内側からみた図)

699.png

図699(膜迷路とその神経)

706.png

図706(成人の上半規管中央部の横断面)

膜迷路はよく発達した中央部と、そこから伸びる特徴的な形状の管からなっている(図698(ヒト胎児(胎生5カ月)の右側膜迷路を内側からみた図)図699(膜迷路とその神経))。これらの管の大部分は平衡覚部Pars staticaと呼ばれ、一方聴覚部Pars auditivaは蝸牛管のみで構成される。中央部は2つの小嚢からなり、1つは細長い形状の卵形嚢Utriculus、もう1つは概ね円形だが若干扁平な球形嚢Sacculusである。中央部からは3つの膜半規管Ductus semicirculares、内リンパ管Ductus endolymphaceus、連嚢管Ductus utriculosaccularis、結合管Ductus reuniens、そしてこれに続く蝸牛管Ductus cochlearisが伸びている。卵形嚢は長さ5~6mm、球形嚢は長さ3mm、幅2mmである。

卵形嚢は球形嚢の壁と1カ所で接しているが、両者の壁は融合して1枚の隔壁になっているわけではなく、互いに分離している。内径0.17mmの細長い1本の管が両嚢と開放性に結合しており、これを内リンパ管Ductus endolymphaceusという。内リンパ管は2つの脚に分かれ、球形嚢につづく脚の方が太く、卵形嚢に開く脚の方が細い。後者を連嚢管Ductus utriculosaccularisという。内リンパ管はその末端部で拡張し、内リンパ嚢Saccus endolymphaceusという大きな扁平な嚢となる。この嚢は長さ約1cm、幅5~8mmで、前庭小管の内口より外側に位置し、側頭骨の錐体乳突部の後面に接して硬膜の2葉間にはさまれている。その方向は下外側方へと伸びている。

なお卵形嚢からは3つの膜半規管Ductus semicirculares, häutige Bogengängeが出ている。その横断面は楕円形で、長径0.5~0.58mm、短径0.3~0.4mmである。長径は半規管の湾曲線を含む面に対して垂直な方向を示している。

各半規管は全円周の約2/3の弧を描いており、3つの管はそれぞれがほぼ垂直な平面内に位置している。

3つの半規管はその位置によって上,後および外側[膜]半規管Ductus semicircularis superior, posterior, lateralisに区別される。成人では、これらの膜半規管は骨半規管内の特定の位置に結合組織索によって固定されている(図706(成人の上半規管中央部の横断面))。

おのおのの膜半規管は2つずつの脚をもち、それによって卵形嚢に開口している。したがって6つの開口があるはずだが、鉛直方向の2つの半規管(上および後半規管)の相寄る2脚が開口のかなり手前で合して、1本の共通な管(総管Ductus communis)をつくっている。そのため半規管が卵形嚢に開く口は5つとなる。ただし、有力な別の見解では、総管は卵形嚢の一部が太い管状になった部分であり、卵形嚢上洞Sinus superior utriculiとよぶべきものとされる。この見解に従えば、すべての半規管をあわせて、6つの口が卵形嚢に開くことになる。