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気管は弾力のある気管軟骨の骨組み、結合組織層、筋層、そして腺を含む粘膜から構成されている。
a)気管軟骨Cartilagines tracheales:硝子軟骨でできており、16~22個存在する(図202(喉頭、気管、気管支およびその主要分枝の前面図)、図204(喉頭、気管および気管支とその主要分枝:後面図))。これらの軟骨は円周の2/3強の弧を描き、後方は鋭い縁で終わる。幅は3~4mm、厚さは1.0~1.5mmある。外面は平坦だが、内面は丸く隆起しており、上下の縁が鋭くなっている。気管軟骨は軟骨膜に覆われ、強靱な結合組織で互いにしっかりと連結している。
第1気管軟骨は通常、それ以下のものより幅広く、その端がしばしば分かれている。時に輪状軟骨あるいは第2気管軟骨と様々な範囲で融合することがある。最下部の気管軟骨は気管分岐部に対応した特有の形状を示す。すなわち、下縁の中央部が下方に突出し、後方に湾曲している。そのため、左右の気管支に挟まれた弓状の突起を形成している。その直上の気管軟骨は中央部が幅広くなっている。気管軟骨の端は短い2つの枝に分かれていることが多く、その場合、隣接する気管軟骨の反対側の端も分かれていて、それ以下の軟骨の配列は再び平行になる。時に隣接する2つの軟骨の端が融合していることもある。
b)筋層:平滑筋の層である。気管軟骨を有する気管の前部には筋層がないが、膜性壁には存在する(図204(喉頭、気管および気管支とその主要分枝:後面図))。筋層は気管軟骨の後端から始まり、もう一方の後端で終わる。
縦走する疎な筋束が筋層の外側に重なっており、これが食道の壁とも連続していることがある。これを気管食道筋M. tracheooesophagicusという。粘膜と粘膜下組織(図204(喉頭、気管および気管支とその主要分枝:後面図)、図205(気管腺:断面)、図206(ヒトの気管:横断面)、図207(気管:縦断面)):粘膜は多列線毛上皮で覆われており、この上皮は鼻腔や喉頭のものとほとんど区別できない。線毛上皮細胞の間には多数の杯細胞がある。上皮の下には厚く明瞭な基底膜が存在する(RK047(ヒト気管の多列線毛上皮))。それに続いて、細胞に富み、ほぼ純粋に弾性組織の性質を持つ固有層がある。ここで線維は縦方向に走行している。粘膜下組織は強靱な結合組織の束から構成されている。ここには多数の気管腺Glandulae trachealesがある。比較的大きなものは気管の軟骨部では扁平な腺体を有し、気管軟骨の間隙に広がっている。膜性壁にも多数の腺があり、その開口部は肉眼でも観察できる。これらの腺は一部が漿液性、一部が混合性である。気管の混合腺は管状胞状腺の形態を示し、ジアヌッチ半月Gianuzzische Halbmondeを有している。
[図204]喉頭、気管および気管支とその主要分枝:後面図(9/10)
気管下部と気管支の筋層を剖出している。
[図205]気管腺:断面
漿液性終末部(seröse Endkammern)
粘液性終末部(muköse Endkammern)
[図206]ヒトの気管:横断面(4倍拡大)
[図207]気管:27歳男性、縦断面、22倍拡大
✠ 孤立リンパ小節
*気管腺の導管開口部