汗腺 Glandula sudorifera

1. 解剖学的特徴

汗腺は、らせん状の形をした長い管状腺であり、皮膚の温度調節と排泄機能を担っています(Gray et al., 2020)。解剖学的には、口唇、爪床、陰茎亀頭および陰核を除くすべての皮膚に分布しており、特に腋窩、手掌、足底、額、頬などに高密度で存在します。汗腺は真皮全体を貫いており、その下端が浅筋膜内に存在することもあります。そのため、皮膚付属器のうちで最も深層にまで入り込んだ構造といえます(Moore et al., 2018)。

2. 組織学的分類

組織学的には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺の2種類に分類されます(Ross and Pawlina, 2016)。エクリン汗腺は身体全体に広く分布し、水様性の汗を分泌して体温調節に関与します。一方、アポクリン汗腺は主に腋窩、外陰部、乳輪周囲などの限られた部位に存在し、思春期以降に活動を開始します。

3. 構造

汗腺の構造は分泌部と導管部からなり、分泌部は単層立方上皮で構成され、導管部は重層立方上皮で形成されています(Mescher, 2018)。汗腺の開口部を汗孔と呼び、表皮を通って皮膚表面に開口します。

4. 臨床的意義

臨床的には、多汗症(汗の過剰分泌)や無汗症(汗腺機能不全)などの疾患と関連しています(Kamudoni et al., 2017)。また、アポクリン汗腺の過剰な活動は体臭の原因となることがあります。さらに、嚢胞性線維症では汗の電解質組成異常が診断的意義を持ちます。治療法としては、多汗症に対するボツリヌス毒素注射や交感神経切除術などが行われることがあります(Nawrocki and Cha, 2019)。

参考文献

J1017.png

J1017 (上眼瞼の断面図)