乳頭(真皮の)Papillae dermis

真皮の乳頭は、表皮中に突出した結合組織性の突起で、表皮-真皮境界部における構造的および機能的に重要な要素である(McGrath et al., 2017)。解剖学的には、真皮乳頭は真皮の最上層(乳頭層)に位置し、表皮の基底層に向かって指状に突出している。その形態は部位によって異なり、手掌や足底では規則的に配列し、体の他の部位では不規則になる(Ross and Pawlina, 2016)。

組織学的特徴

組織学的特徴として、乳頭は以下の要素から構成される:

  1. 膠原線維と弾性繊維のネットワーク(表皮の表面に対してほぼ直角に配向)
  2. 毛細血管のループ(栄養供給)
  3. 神経終末(特に触覚に関与)

臨床的意義

臨床的意義は多岐にわたる。皮膚の力学的強度の向上では、真皮乳頭による表皮-真皮間の嵌合(接着面積の増加)が剪断力に対する抵抗を高める(Kanitakis, 2002)。栄養と代謝では、乳頭内の毛細血管ループが表皮への効率的な栄養供給を担い、酸素や栄養素の拡散距離を短縮している。

機能的分類

乳頭は機能的に二種類に分類される:

  1. 血管乳頭(vascular papillae):毛細血管ループのみを含み、主に栄養供給を担当
  2. 神経乳頭(neural papillae):マイスナー小体などの触覚受容器を含み、感覚機能を担当

皮膚紋理と感覚機能

皮膚の触覚感度は真皮乳頭の密度と相関し、指先や口唇など高感度領域では乳頭密度が高い(Montagna and Parakkal, 1974)。皮膚紋理(指紋など)の形成では、真皮乳頭の配列が表皮の隆起(皮膚小稜)パターンを決定し、遺伝的に規定される。通常、1つの皮膚小稜には2個の乳頭が存在する(Junqueira and Carneiro, 2005)。

病態生理学

病態生理学的には、真皮乳頭の形態変化は様々な皮膚疾患で観察される。乾癬では乳頭の伸長と血管拡張、扁平苔癬では鋸歯状の変形、皮膚萎縮では乳頭の平坦化が特徴的である(Weedon, 2010)。また、加齢に伴い乳頭は平坦化し、表皮-真皮境界部の嵌合が減少することで、皮膚の脆弱性が増加する(Farage et al., 2013)。

参考文献