真皮の乳頭は、表皮中に突出した結合組織性の突起である。列をなしている場合もあれば、分枝したり、その形と配列には非常に変化がある。表皮を裏打ちする乳頭層は、表皮の厚い手掌型の皮膚では、一定の間隔で胚芽層の中に深く侵入し、円柱状または板状の構造物を作り出す。これを乳頭と呼ぶ。通常、1つの皮膚小稜の中には2個の乳頭が浸出している。乳頭の中には毛細血管のループがあり、これから浸出した血漿によって表皮細胞が栄養される。つまり、乳頭は厚い表皮を効果的に栄養するための構造である。表皮の胚芽層に見られた著明な細胞間隙も、血漿(組織液)が乳頭から表皮の表面に向かって流れてゆく通路とみなされる。乳頭の内部では、膠原線維も弾性繊維も、表皮の表面に対してほぼ直角に走る。乳頭には、基底膜の直下を走る毛細血管のループに加えて、触覚の感覚装置であるマイスナー小体を含むものがある。このような乳頭を神経乳頭といい、血管のループのみを含むものを血管乳頭という。