真皮は表皮を裏打ちする厚い交織性緻密結合組織の層で、縦横に交織する膠原線維束とその間に含まれる多くの弾性繊維で構成されています。真皮の表層部は、膠原線維束と弾性線維が細く、配列もやや疎で、真皮の主体部分から区別されます。この表層部を乳頭層、真皮の主体部分を網状層と呼びます。

真皮は以下のもので構成されています:①線維芽細胞、線維細胞、およびこれらによって産生される細胞外マトリックス、②コラーゲン線維と弾性線維、③グリコサミノグリカンを含む基質、④血管と神経、⑤少数のマクロファージ、リンパ球、および肥満細胞。また、皮膚付属器、血管、神経、排出リンパ管が存在します。

皮膚に血液を供給する主たる血管は真皮に存在し、これらは皮下脂肪組織にあるより大きな血管から派生します。真皮には2つの明瞭な血管叢が存在します:①深部血管叢は皮下組織との境界に近い真皮網状層下部にあり、②浅部血管叢は真皮乳頭層に近い真皮網状層上部に存在します。浅部血管層から伸びる小血管ループが真皮乳頭層内へ伸び、そこから出る毛細血管は表皮基底膜のすぐ近くに達します。ただし、血管は表皮内には侵入しません。

真皮には多くの動静脈吻合が存在し、特に指先に見られる短絡路は「糸球」と呼ばれます。真皮での血流変化は皮膚が体温調節器官としての役割を果たす上で重要です。皮膚付属器への血液供給は、浅部と深部の両血管叢から出る血管によって行われます。

皮膚の支配神経は真皮に存在し、次の2種類があります:①交感神経系の無髄神経は真皮に豊富に分布し、皮膚付属器の働きや血流の調節を行います。②求心性有髄ならびに無髄神経は皮膚感覚を感知します。

皮膚感覚は、種々の特殊な神経終末によって感知されますが、最も重要なものは以下の通りです:①自由神経終末(有髄および無髄)は痛覚および温度を感知します。②層板小体(ファーター・パチニ小体)は、圧覚などを感知します。通常、手のひらや足の裏の真皮深部あるいは皮下脂肪組織に見られます。③触覚小体(マイスナー小体)は、触覚を感知します。これらは手や足に多く分布し、真皮の乳頭層に限局して存在します。④メルケル細胞とそれに付着する神経は、持続的でゆるやかな触覚の変化を感じ取るレセプターです。