ツチ骨頚 Collum mallei
ツチ骨頚は、中耳の伝音機構を構成する耳小骨の一つであるツチ骨の解剖学的構造の重要な部分です。その詳細な解剖学的特徴と臨床的意義は以下の通りです(Gray and Williams, 2020; Standring, 2021):
解剖学的特徴
- ツチ骨頭(caput mallei)と柄(manubrium mallei)を連結する細長い狭窄部分(Schuknecht, 2019)。
- 長さは約1.5mm、直径は約0.7mmの細い円柱状構造(Gulya et al., 2018)。
- 鼓膜の弛緩部(pars flaccida)とほぼ同じ高さに位置している(Proctor, 2017)。
- 前方に軽度の屈曲を持ち、解剖学的に弱点となりうる部分(Merchant and Nadol, 2021)。
組織学的特徴
- 密な層板骨で構成され、表面は薄い骨膜で覆われている(Anson and Donaldson, 2018)。
- 内部に少量の骨髄腔を含み、血管と神経の通路となっている(Schuknecht, 2019)。
周囲の重要構造物との関係
- 前方に前突起(processus anterior)が伸び、前靭帯と連結する(Standring, 2021)。
- 後方に小さな後突起(processus lateralis)があり、側靭帯の付着部となる(Proctor, 2017)。
- 鼓索神経(chorda tympani)がツチ骨頚の近傍を走行する(Gulya et al., 2018)。
臨床的意義
- 耳硬化症(otosclerosis)ではツチ骨頚が固着することがある(Merchant and Nadol, 2021)。
- 中耳炎や外傷による耳小骨連鎖の離断がツチ骨頚で生じることがある(Schuknecht, 2019)。
- 耳小骨形成術の際の重要な手術解剖学的指標となる(Gulya et al., 2018)。
ツチ骨頚の正確な位置と関係性は、以下の解剖図で詳細に観察することができます(Standring, 2021):
- 右の鼓膜に垂直な断面図:ツチ骨頚と鼓膜の空間的関係を示す。