鼓室上陥凹 Recessus epitympanicus

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J1020 (右の外耳および中耳の概要:前外側からの図)

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J1027 (右外耳道に垂直な断面:前方からの図)

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J1029 (右の鼓膜に垂直な断面:前面からの図)

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J1033 (右の鼓膜とツチ骨柄、内側から後上方の図)

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J1034 (右の鼓膜とツチ骨、および鼓索神経:内側から後上方の図)

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J1035 (右の鼓膜、ツチ骨とキヌタ骨:内側から後上方からの図)

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J1042 (右の鼓室の内側壁:外側からの図)

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J1051 (前庭と半規管は、浸軟化された骨から外側に開く)

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J1052 (浸軟化した骨にある右の蝸牛、外側から開放)

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J1056 (右側の側頭骨を垂直に切断し、外側の切断面を内側からの図)

鼓室上陥凹(上鼓室、epitympanic recess)は、中耳腔の上方に位置する重要な解剖学的構造です。以下、その解剖学的特徴と臨床的意義について、現代の解剖学的知見に基づいて詳述します。

解剖学的特徴

位置と境界

鼓室上陥凹は鼓膜の上縁(弛緩部、pars flaccida)より上方に位置し、側頭骨岩様部に形成された空間です (Marchioni et al., 2020)。下方は鼓室峡部(isthmus tympani)によって中鼓室と区切られています (Marchioni et al., 2018)。

形態と容積

上外側へ向かって陥凹しており、容積約1-2mlの空間を形成しています (Gulya et al., 2018)。この比較的小さな空間が病変の進展に大きく影響します。

内部構造

内部にはツチ骨頭とキヌタ骨体が収納されており (Singh and Chan, 2021)、これらの耳小骨は音の伝達において重要な役割を果たしています。

連絡路

後方は乳突洞(mastoid antrum)を介して乳様突起の含気蜂巣と連絡しており (Pauna et al., 2017)、この連絡路が炎症の波及経路となります。

組織学的特徴

鼓室上陥凹の粘膜は中耳腔の他の部位と同様に単層扁平上皮から立方上皮で覆われており、その下には薄い結合組織層が存在します (Tos, 2012)。

血管支配

この領域の血管支配は主に顎動脈の分枝である鼓室前動脈と後頭動脈の分枝である鼓室後動脈によって行われています (Ho et al., 2022)。

臨床的意義

真珠腫形成

鼓室上陥凹は中耳真珠腫、特に弛緩部型真珠腫(pars flaccida cholesteatoma)の好発部位です (Rosito et al., 2016)。真珠腫は成長パターンによって分類され、鼓室上陥凹から発生するものは周辺構造への侵襲が問題となります。

炎症波及