鼓室上陥凹 Recessus epitympanicus

鼓室上陥凹(上鼓室)は、中耳腔の上方に位置する重要な解剖学的構造です。その解剖学的特徴と臨床的意義について、現代の解剖学的知見に基づいて解説します(Mansour et al., 2019; Laulajainen-Hongisto et al., 2021):

解剖学的特徴

鼓室上陥凹の粘膜は中耳腔の他の部位と同様に単層扁平〜立方上皮で覆われており、その下には薄い結合組織層が存在します(Tos, 2012)。この領域の血管支配は主に顎動脈の分枝である鼓室前動脈と後頭動脈の分枝である鼓室後動脈によって行われています(Ho et al., 2022)。

臨床的意義

この構造の詳細な理解は、中耳疾患(特に慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎)の診断・治療において極めて重要であり、耳科手術における安全なアプローチのために不可欠な解剖学的知識です(Thomassin et al., 2021)。

参考文献