耳介筋 Musculi auriculares
耳介筋は、耳介周囲に位置する薄く小さな骨格筋群です。解剖学的には、形態学的特徴と機能的側面から以下のように詳細に分類されます(Standring, 2016):
解剖学的分類
- 前耳介筋(M. auricularis anterior):側頭筋膜から起始し、耳介軟骨の前部(耳珠)に停止します(Moore et al., 2018)
- 上耳介筋(M. auricularis superior):頭頂部の帽状腱膜から起始し、耳介軟骨の上縁に停止します
- 後耳介筋(M. auricularis posterior):乳様突起上の側頭骨から起始し、耳介軟骨の後面に停止します
組織学的特徴
- 耳介筋は横紋筋構造を持ち、薄い筋束から構成されています(Ross and Pawlina, 2016)
- 筋線維は平均直径が通常の骨格筋より小さい(約15-25μm)特徴があります
- 筋紡錘密度が低く、精密な運動制御には不向きな構造です
神経支配
- 顔面神経(第VII脳神経)の側頭枝と後耳介枝によって支配されています(Tubbs et al., 2019)
- 運動神経のみの支配で、固有感覚は乏しいとされています
血管分布
- 前耳介筋と上耳介筋への血液供給:外頸動脈の分枝である浅側頭動脈から(Netter, 2019)
- 後耳介筋への血液供給:外頸動脈の分枝である後耳介動脈から
- 静脈還流は浅側頭静脈と後耳介静脈を経て外頸静脈に流入します
機能的特徴
- 前耳介筋:耳介を前上方に引き上げます
- 上耳介筋:耳介を上方に引き上げます