眼瞼部(涙腺の)Pars palpebralis (Glandulae lacrimalis)
涙腺の眼瞼部は、涙腺の二つの部分のうち、より小さい下の部分を指します。この部分は解剖学的に重要で、臨床的にも様々な疾患に関連します(Gray, 2020)。
解剖学的特徴
- 上眼瞼の外側部に位置し、上眼瞼結膜との密接な関係を持ちます(Standring, 2021)
- 上眼瞼挙筋の腱膜よりも表層(表面側)に位置しています
- 涙腺の眼窩部(orbital part)と比較して小さいサイズ(約1/3程度)です(Moore et al., 2019)
- 約6-8個の小排出管を通じて涙を結膜嚢に分泌します
- 組織学的には漿液性腺房を持ち、導管系で構成されています(Ross and Pawlina, 2018)
血管・神経支配
- 血液供給:眼動脈の分枝である涙腺動脈からの供給を受けます(Snell and Lemp, 2013)
- 静脈還流:眼静脈系を経て海綿静脈洞に還流します
- 神経支配:副交感神経(涙腺分泌)は顔面神経由来、交感神経は頸部交感神経節由来です(Remington, 2022)
臨床的意義
- 眼瞼部涙腺の炎症(涙腺炎)は結膜炎や眼瞼炎と関連することがあります(Kanski and Bowling, 2019)
- シェーグレン症候群などの自己免疫疾患では機能低下が見られます(Fox et al., 2018)
- 稀に腫瘍(多形性腺腫、腺様嚢胞癌など)が発生することがあります(Shields et al., 2017)
- ドライアイ症候群の診断と治療において重要な解剖学的構造です
この構造は、基礎涙液の分泌と眼表面の恒常性維持において重要な役割を果たしています。臨床検査では、シルマー試験やローズベンガル染色などで機能評価が可能です(Bron et al., 2014)。
参考文献
- Bron AJ, et al. (2014) The Ocular Surface, 12(2):107-161. — ドライアイの国際的診断基準と涙腺機能評価法を提示