涙器 Apparatus lacrimalis

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J1019 (右眼の涙器:前方からの図)

涙器は、眼球の保護と視力の維持に不可欠な解剖学的系統です。涙器は涙腺、涙湖、涙点、涙小管、涙嚢、鼻涙管から構成されています(Gray and Lewis, 2020)。

解剖学的構造

1. 涙腺(Lacrimal gland)

涙腺は上眼瞼外側部に位置し、主涙腺と副涙腺(Krause腺、Wolfring腺)に分けられます(Snell and Lemp, 2013)。涙腺は漿液性の腺で、水分やタンパク質、電解質を含む涙液を分泌します。組織学的には、涙腺は腺房と導管系からなる複合管状胞状腺として特徴づけられます(Oyster, 1999)。

2. 涙湖(Lacus lacrimalis)

涙湖は内眼角の結膜嚢に形成される小さな涙液の貯留部で、涙点の近くに位置しています(Paulsen and Waschke, 2018)。

3. 涙点・涙小管(Lacrimal punctum and canaliculi)

涙点は上下眼瞼の内側縁に開口する小さな孔で、そこから涙嚢へ続く細い管を涙小管といいます。涙小管の直径は約0.5〜1mm、長さは約8〜10mmです(Remington, 2012)。涙の通路系は重層扁平上皮または多列線毛上皮に覆われています(Oyster, 1999)。

4. 涙嚢(Lacrimal sac)

涙嚢は眼窩内側壁の涙骨窩に位置する嚢状の構造で、上部は盲端、下部は鼻涙管へと続きます(Gray and Lewis, 2020)。長さは約12〜15mm、幅は約4〜8mmです(Paulsen and Waschke, 2018)。

5. 鼻涙管(Nasolacrimal duct)

鼻涙管は涙嚢の下部から始まり、下鼻道へと開口する管です(Paulsen and Waschke, 2018)。長さは約12〜18mmで、鼻腔側の開口部には粘膜のヒダ(Hasner弁)があり、逆流を防いでいます。

生理学的機能

1. 涙液の産生

涙器の主な機能は涙(なみだ)の産生と排出です。涙液は角膜や結膜の湿潤、栄養供給、抗菌作用を担っています(Holly and Lemp, 1977)。涙液は以下の3層構造からなります: