結膜半月ヒダ Plica semilunaris conjunctivae
結膜半月ヒダは、眼の解剖学的に重要な構造であり、以下のような特徴と臨床的意義を持ちます(Gray, 2020; Warwick and Williams, 2008):
解剖学的特徴
- 内眼角(内側眼角)に位置し、眼瞼結膜によって形成される三日月状の垂直なヒダです(Snell and Lemp, 2013)
- 上結膜円蓋と下結膜円蓋の間に存在し、涙丘(lacrimal caruncle)の側方に隣接しています
- 組織学的には、疎性結合組織と豊富な血管網、リンパ組織、および少量の平滑筋線維で構成されています(Dua et al., 2018)
- ヒトでは退化した構造ですが、系統発生学的には鳥類や爬虫類の瞬膜(nictitating membrane)の遺残物です
機能的役割
- 眼球の内側部分の保護に寄与しています(Remington, 2012)
- 涙液の分布と排出の過程で補助的役割を果たし、涙液膜の維持に貢献しています
- 結膜囊の可動性を高め、眼球運動の自由度を確保する役割があります(Kanski and Bowling, 2016)
臨床的意義
- 結膜炎や眼の炎症時には、この部位が発赤・腫脹することがあります
- 結膜半月ヒダの過形成や腫瘍性病変が生じることがあり、診断的意義があります(Sharma et al., 2019)
- 眼の乾燥症候群(ドライアイ)の評価において検査対象となる場合があります
- 眼科手術(特に結膜移植や翼状片手術)において解剖学的ランドマークとして重要です(Goel and Picciani, 2015)
この結膜半月ヒダは比較解剖学的にも興味深い構造であり、ヒトでは退化していますが、多くの脊椎動物では第三の瞼(瞬膜)として発達し、角膜保護や洗浄に重要な役割を果たしています(Duke-Elder, 1961)。
参考文献
- Duke-Elder, S. (1961). System of Ophthalmology, Vol. II: The Anatomy of the Visual System. — 眼科学体系の古典的名著で、結膜半月ヒダの比較解剖学的側面に詳しい。
- Dua, H.S., Faraj, L.A., Said, D.G., Gray, T. and Lowe, J. (2018). British Journal of Ophthalmology, 102(3), pp.302-307. — 結膜半月ヒダの組織学的特性に関する最新知見を提供。