後眼瞼縁 Limbus posterior palpebrae

解剖学的特徴

後眼瞼縁は、眼球に直接面する眼瞼(まぶた)の縁であり、解剖学的には瞼板(けんばん)の後縁に相当します(Gray and Williams, 2000)。この部分は結膜で覆われており、マイボーム腺(meibomian glands)の開口部が並んでいます。Remington(2011)によれば、これらの腺は眼瞼の安定性と涙液の質に重要な役割を果たしています。

組織学的特徴

組織学的には、後眼瞼縁は重層扁平上皮からなる結膜上皮に覆われ、その深層には豊富な血管網と神経終末が存在します(Ross and Pawlina, 2016)。また、この部位には杯細胞(goblet cells)も分布しており、粘液層の産生に関与しています。Knop et al.(2011)の研究では、これらの杯細胞の密度と機能が眼表面の健康維持に不可欠であることが示されています。

臨床的意義

臨床的意義として、後眼瞼縁は涙液層の安定性維持に重要な役割を果たします。マイボーム腺からの脂質分泌物は涙液の蒸発を防ぐ脂質層を形成し、ドライアイ予防に寄与します(Nichols et al., 2011)。また、マイボーム腺機能不全(MGD)は後眼瞼縁の異常として現れ、慢性的な眼不快感や結膜炎の原因となります。さらに後眼瞼縁の炎症(後部眼瞼縁炎)は、細菌感染や自己免疫疾患に関連して生じることがあります(Geerling et al., 2011)。

参考文献

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J1014 (20歳女子の右眼:正面からの図)

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J1015 (20歳女子の右眼:前から見たときに引っ張られて大きく開いた図)

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J1017 (上眼瞼の断面図)

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J1018 (右眼の眼瞼と涙腺:後方からの図)