




上眼瞼は、眼球前面の上部を保護する可動性の高い構造です (Gray and Standring, 2015)。以下に解剖学的構造、機能、臨床的意義について詳述します。
上眼瞼は外側から内側へ以下の8層から構成されています (Dutton, 2011):
上眼瞼挙筋(Levator palpebrae superioris):眼窩尖端部の総腱輪に起始し、前方に走行して腱膜となり、上瞼板の前面に停止します。動眼神経(CN III)の支配を受け、開瞼の主要筋肉として機能します (Zide and Jelks, 2006)。
上瞼板筋(Superior tarsal muscle / Müller筋):交感神経支配の平滑筋で、上眼瞼挙筋腱膜と瞼板の間に位置し、開瞼を補助します (Kakizaki et al., 2009)。
瞼板(上瞼板、Superior tarsus):高さ約10-12mm、厚さ約1mmの弾性に富む線維性結合組織で、眼瞼の形状を維持します。前面には上眼瞼挙筋の腱膜が付着し、後面には結膜が接しています (Hwang et al., 2005)。
瞼板腺(Tarsal glands / Meibomian glands):瞼板内に縦に配列する脂腺で、30-40個存在します。皮脂様の分泌物(マイボーム腺脂)を産生し、涙液層の脂質層を形成することで涙液の蒸発を防ぎ、涙液層の安定化に寄与します (Knop et al., 2011)。