後面(水晶体の)Facies posterior lentis

水晶体の後面は、眼球の光学系において重要な解剖学的構造であり、以下の特徴を持ちます(Gray et al., 2020):

解剖学的意義

水晶体後面は前面より曲率が強いため、光の屈折力(約+15〜17ディオプター)に大きく寄与しています。水晶体全体の屈折力(約+20ディオプター)の約75%を後面が担っています(Remington, 2012)。

発生学的特徴

胎生期に水晶体小胞から発達し、後面の上皮細胞は伸長して一次水晶体線維となり、内腔を充填します。これにより後面には上皮層が存在せず、水晶体線維が直接後嚢に接する構造となります(Sadler, 2018)。

臨床的意義

加齢や糖尿病により後嚢下白内障が発生することがあり、手術時には後嚢を温存して眼内レンズを挿入するケースが多いです(Kanski and Bowling, 2016)。また、後極部の混濁は視力に大きく影響します。チン小帯の断裂により水晶体脱臼が起こると、硝子体との接触面が変化し、緑内障や網膜剥離などの合併症を引き起こす可能性があります(Yanoff and Duker, 2019)。

参考文献