毛様体冠 Corona ciliaris

1. 解剖学的構造

毛様体冠(Corona ciliaris)とは、毛様体の前部を形成する輪状の帯で、毛様体突起が放射状に配列した構造です。解剖学的には強膜と脈絡膜の間に位置し、虹彩の後方から水晶体赤道部まで広がっています(Gray and Lewis, 2018)。

2. 微細構造

毛様体冠の内面には、細長い毛様体突起(Processus ciliaris)が約70~80本経線方向に走っており、これらは高さ約0.5〜0.7mm、長さ約2mmで眼球内腔に突き出ています(Remington, 2012)。突起間には毛様体溝(Sulci ciliares)が形成されています。この構造は眼球の調節機能に重要な役割を果たしています。

3. 組織学的特徴

組織学的には、毛様体冠は豊富な血管網と色素上皮細胞に覆われた二層の上皮で構成されています。内層は無色素上皮で房水の産生に関与し、外層は色素上皮です(Levin et al., 2011)。また、毛様体筋(Musculus ciliaris)が付着しており、この筋肉の収縮によって水晶体の形状が変化し、焦点調節が行われます。

4. 臨床的意義

臨床的には、毛様体冠は房水産生の主要部位であり、緑内障の病態や治療と密接に関連しています(Weinreb et al., 2014)。また、ぶどう膜炎では毛様体冠も炎症の影響を受け、毛様体冠炎(Cyclitis)を引き起こすことがあります。さらに、白内障手術時のチン小帯(Zonular fibers)操作においても重要な解剖学的指標となります。

参考文献

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J0984 (右眼の前部、後方からの図)

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J0985 (毛様体の一部、後方からの図)