精巣動脈神経叢♂ Plexus nervosus testicularis♂

J0781 (右精巣と精巣上体:側面からの図)

J0978 (交感神経の腹部神経叢:前面からの図)
解剖学的特徴と構造
精巣動脈神経叢は、精巣動脈に伴行して精巣に至る自律神経性の神経網である (Standring et al., 2021)。腎神経叢および大動脈神経叢からの神経線維を含み、精巣動脈とともに後腹膜腔を下降し、精索の中を通って精巣に至る (Drake et al., 2020)。解剖学的には、腎動脈から精巣に向かって下行する精巣動脈に沿って分布している。
神経支配と機能
- 遠心性交感神経線維:血管の収縮調節と精巣血流の制御を行う (Moore et al., 2019)
- 求心性線維:内臓感覚の伝達を担当する (Moore et al., 2019)
- 副交感神経系:下腹神経叢からの骨盤内臓神経を介して精巣に到達し、血管拡張作用により血流を増加させる (Agur and Dalley, 2022)
- 自律神経支配:精巣および精巣上体への全般的な調節を行う (Agur and Dalley, 2022)
生理学的役割
精巣動脈神経叢は以下の機能の調節に重要な役割を果たしている (Netter and Machado, 2019):
- 精子形成の調節
- アンドロゲン産生の制御
- 精巣血流の調節
- 温度調節(血管の収縮・拡張を通じた精子形成に最適な環境維持)
臨床的意義
- 手術時の注意点:泌尿器科手術や鼠径ヘルニア手術時には神経血管束の損傷を避けることが重要である (Partin et al., 2021)
- 障害の影響:神経叢の損傷は精巣の血流障害や生殖機能障害を引き起こす可能性がある (Smith et al., 2020)
- 疾患との関連:精索捻転などの急性疾患時には、この神経叢を介して強い内臓痛が伝達される (Johnson et al., 2020)
発生学的観点