腹部(内臓神経叢と内臓神経節の)Pars abdominalis plexus visceralis et ganglii visceralis

J0978 (交感神経の腹部神経叢:前面からの図)
解剖学的構造
基本的概念と定義
内臓神経叢と内臓神経節の腹部とは、消化、血流、呼吸などの不随意身体機能を制御する、腹部に存在する神経と神経節のネットワークである (Langley and Anderson, 2023)。これらは、自律神経系の重要な構成要素として機能している。
主要な構成要素
腹部内臓神経叢は、以下の重要な構成要素から成り立っている (Standring et al., 2024):
- 腹腔神経叢(Plexus coeliacus):腹腔神経節を含む腹部内臓に分布する最大の自律神経叢であり、消化器系の機能調節において中心的な役割を果たしている。
- 上腸間膜神経叢(Plexus mesentericus superior):小腸および結腸上部の支配を担当し、消化管運動と分泌の制御を行っている。
- 下腸間膜神経叢(Plexus mesentericus inferior):結腸下部および直腸を支配し、排便機能の調節に重要な役割を果たしている。
- 腎神経叢(Plexus renalis):腎臓機能の調節を担い、血圧調節や水分バランスの維持に不可欠である。
- 肝神経叢(Plexus hepaticus):肝臓への自律神経支配を担い、肝血流と代謝機能の調節を行っている (Moore et al., 2024)。
- 脾神経叢(Plexus splenicus):脾臓の血流調節と免疫機能の神経調節に関与している。
解剖学的位置関係と神経連絡
これらの神経叢は後腹膜腔に位置し、大動脈や主要な血管の周囲に分布している (Moore et al., 2024)。腹腔神経叢は腹腔動脈の起始部周囲、第12胸椎から第1腰椎のレベルに位置する。複雑なネットワークを形成し、互いに連絡枝を介して密接に連絡している。また、交感神経系と副交感神経系の両方の線維を含んでおり、内臓機能の統合的な調節を可能にしている (Standring et al., 2024)。
神経支配の経路
腹部内臓神経叢への求心性・遠心性線維は以下の経路を介して伝達される (Standring et al., 2024):
- 交感神経線維:胸腰髄(T5-L2)から起始し、内臓神経(大内臓神経、小内臓神経、最下内臓神経)を介して腹腔神経節に達する。
- 副交感神経線維:迷走神経の枝が腹部内臓に分布し、神経叢内でシナプスを形成する。