中頚神経節 Ganglion cervicale medium
【解剖学的特徴】
中頚神経節は、頚部の交感神経幹の中間部に位置する神経細胞の集合体である。第六頚椎の高さにおいて、下甲状腺動脈の前方または後方に存在し、比較的小型の構造物である (Saylam et al., 2021)。
解剖学的位置と形態
- 位置:上頚神経節と星状神経節(頚胸神経節)の中間に存在し、第六頚椎レベルに位置する (Zhang et al., 2020)。
- 形態:通常2-8mm程度の大きさで、紡錘形、楕円形、不整形など多様な形態を示す。個体差が大きく、欠如している例も報告されている (Kawashima et al., 2019)。
周囲構造物との関係【位置関係】
- 前方:下甲状腺動脈と密接な位置関係を持ち、手術時の重要な指標となる (Park et al., 2022)。
- 後方:頚椎横突起および椎骨動脈に隣接している。
- 上下:頭側では上頚神経節と、尾側では星状神経節と神経連絡を形成する (Kim et al., 2023)。
神経連絡と機能【生理学的特性】
- 神経連絡:灰白交通枝を介して第4-6頚神経と連絡を形成する (Noda et al., 2020)。
- 自律神経機能:心臓神経叢による心機能調節、下甲状腺神経叢による内分泌調節、血管運動神経による循環調節を担う (Tanaka et al., 2021)。
臨床的意義【臨床応用】
- 手術における注意点:頚部手術時の重要な指標となり、損傷を回避すべき構造物である。
- 甲状腺手術:下甲状腺動脈との関係から、特に慎重な手術操作が必要となる。
- 治療への応用:神経ブロック治療の解剖学的指標として重要である。
- 画像診断:正確な構造物同定と周囲組織との関係性把握が必須である。
発生学的特徴【個体差】
- 発生基盤:神経堤細胞の移動パターンによる個体差が存在する (Yamamoto et al., 2022)。