交感神経幹 Truncus sympathicus
【基本構造】
交感神経幹は、自律神経系における重要な神経構造であり、以下のような解剖学的特徴を有します (Gray and Williams, 2021)。
- 脊椎の両側に1対存在し、規則的な間隔で神経節の膨らみを形成します。
- 神経節は以下の領域に分布します:
- 頚部領域:3対の神経節(上頚神経節、中頚神経節、星状神経節)を形成します。
- 胸部領域:11〜12対の神経節が存在し、各肋間神経と連絡を持ちます。
- 腰部領域:5対の神経節があり、腰内臓神経を分枝します。
- 仙骨領域:4〜5対の神経節が骨盤内に位置します。
- 左右の交感神経幹は脊柱に沿って走行し、最下端で不対神経節として合流します (Moore et al., 2023)。
【神経線維構成】
交感神経幹には、以下の重要な神経線維系が存在します (Standring, 2022):
- 求心性線維:内臓からの感覚情報を伝達する有髄性神経線維です。
- 遠心性線維:内臓に向かう節後線維を形成し、効果器への支配を担います。
- 交通枝システム:
- 白交通枝:有髄性の節前線維が通過し、脊髄からの情報を伝達します。
- 灰白交通枝:無髄性の節後線維が通過し、末梢への支配を行います。
【神経節の構造と機能】
- 頚部神経節
- 上頚神経節:C1-C4レベルに位置する最大の神経節であり、頭頚部の自律神経支配を担当します (Netter, 2023)。
- 中頚神経節:C6レベル付近に存在し、時に欠如することがありますが、頚部の自律神経調節に関与します。
- 星状神経節:下頚神経節と第1胸神経節の融合により形成され、上肢の自律神経支配において重要な役割を果たします。
- 胸部神経節
- 11〜12対の神経節が存在し、各肋間神経と密接な連絡を保ちます。
- 大内臓神経および小内臓神経を分枝し、腹部内臓の自律神経支配に重要な役割を果たします (Drake et al., 2020)。
- 腰部・仙骨部神経節