皮枝(閉鎖神経の前枝の)Ramus cutaneus ramus anterioris nervus obturatorii
1. 解剖学的特徴
- 閉鎖神経の前枝から分岐する不定の終枝として存在し、長内転筋と薄筋の間から出現する (Agur and Dalley, 2023)。
- 主として大腿内転筋群を貫通して皮下に達し、大腿中央部から遠位部にかけて分布する (Moore et al., 2022)。
- 内側広筋の深部を走行し、前大腿皮神経や伏在神経と支配領域が重複することがある (Standring, 2021)。
2. 神経支配領域
- 主たる支配領域は、膝の上方の大腿内側面の皮膚である (Drake et al., 2023)。
- 後枝の皮枝と比較して、より広範な支配領域を有する傾向にある (Netter, 2023)。
- 個体差が大きく、完全に欠如している例も報告されている (Gosling et al., 2024)。
3. 臨床的意義
- 損傷により、大腿内側部の感覚異常を引き起こす可能性がある (Snell, 2023)。
- 股関節手術や膝関節手術において、術中の神経走行の確認が重要である (Paulsen and Waschke, 2024)。
- 閉鎖神経症候群(前枝の圧迫や損傷)の診断には、支配領域の詳細な感覚検査が必須となる (Tubbs et al., 2023)。
- 鼠径ヘルニアや骨盤内手術では、本神経の走行を十分に考慮した術式選択が求められる (Hansen, 2024)。
4. 発生学的特徴
- 下肢の発生過程において、閉鎖神経の前枝から分枝する (Schoenwolf et al., 2023)。
- 胎生期における神経発達パターンが、その後の走行経路と分布領域を決定づける (Sadler, 2024)。
- 個体発生の過程で、支配領域のバリエーションが生じる可能性がある (Larsen et al., 2023)。
5. 機能的特性
- 主に感覚神経として機能し、大腿内側部の表在感覚を担う (Clemente, 2022)。