1. 解剖学的特徴
上外側上腕皮神経は腋窩神経から分岐する皮枝で、上腕上部および外側の皮膚感覚を支配します (Moore et al., 2022)。肩甲下筋の下方を通過し、上腕三頭筋長頭の後方を回り、三角筋後縁に沿って走行します (Standring, 2021)。
この神経は腋窩神経の主要な皮枝として機能し、三角筋を貫通して皮下に到達します (Drake et al., 2020)。上腕の近位1/3の外側部の皮膚に広く分布し、特に三角筋部の皮膚感覚を担当します。
2. 解剖学的変異
腋窩神経から複数の分枝として出現することがあり、支配領域の範囲には個人差が認められます (Netter, 2023)。他の上腕部の皮神経と吻合を形成し、感覚支配の冗長性を有します。
3. 臨床的意義
腋窩神経損傷時には感覚障害が発生する可能性があり、手術操作時には特別な注意が必要です (Mackinnon and Novak, 2020)。神経損傷により、三角筋領域の感覚鈍麻や異常感覚が出現する可能性があります。
三角筋部の外科手術(特に肩関節手術)時には、本神経の走行に十分な注意を払う必要があります。またスポーツ活動(特に投球動作や肩関節の反復使用)による神経の圧迫や損傷にも注意が必要です。
4. 診断と評価
支配領域における詳細な感覚検査が基本的な評価方法となります (Campbell, 2021)。電気生理学的検査により、神経機能の客観的評価が可能であり、画像診断(MRI、CTスキャン、超音波検査など)も神経走行の評価に有用です (Spinner et al., 2021)。
5. 発生学
胚発生期における腕神経叢の発達過程で、腋窩神経の枝として分化します (Sadler, 2023)。神経堤細胞に由来し、発生過程において特定の経路に沿って成長します。
6. 治療とリハビリテーション
神経損傷の程度に応じて、保存的治療が第一選択となることが多いです (Sunderland, 2020)。物理療法と運動療法を組み合わせた包括的なアプローチが効果的で、重症例においては神経剥離術や神経移植術などの手術的治療が検討されます。
7. 予後
早期診断と適切な治療介入により、良好な予後が期待できます。慢性的な圧迫や重度の損傷は永続的な感覚障害を引き起こす可能性があるため、適切な経過観察と定期的な機能評価が予後改善に重要です。
参考文献