背側指神経(橈骨神経の)Nervi digitales dorsales manus (Nervus radialis)
1. 基本的な解剖学的特徴
- 橈骨神経浅枝の終枝として存在し、指背部の皮膚感覚と爪床の知覚を支配する (Gray et al., 2020)。
- 主たる支配領域は、中手骨から基節骨の領域における皮膚感覚である。
- 末梢に向かって漸次細くなり、中節骨レベルまで分布している (Moore et al., 2023)。
2. 神経の走行と分布
- 手背部において、骨間筋の背側を走行しながら各指背側へと分布する。
- 浅枝は、短母指伸筋と長母指伸筋の腱間を通過して手背部で分枝する (Standring, 2021)。
- 手関節部では、長母指外転筋と短母指伸筋の腱間を通過する。
3. 神経支配の特徴と分布パターン
- 手背の橈側半分には、橈骨神経浅枝が分布し、外側前腕皮神経と交通して第1背側指神経を形成する (Netter, 2023)。
- 橈骨神経浅枝は第1から第5背側指神経を、尺骨神経手背枝は第6から第10背側指神経を分枝する。
- 第2-第3中手骨間隙における両神経の交通により、第4から第7背側指神経には両神経が関与することが多い。
4. 支配領域の詳細
- 指背部の皮膚感覚を主に支配し、爪床の感覚にも重要な役割を果たす (Drake et al., 2020)。
- 支配領域の主体は、基節骨から中節骨付近までである。
- 末節骨付近の感覚支配は、主として掌側指神経の枝が担当する。
5. 解剖学的変異
- 橈骨神経浅枝が欠如した場合、外側前腕皮神経がその支配領域を代償することが多い (Tubbs et al., 2022)。
- 手背における橈骨神経と尺骨神経の分布域は、正中線上での二分、もしくはいずれかの優位性によって特徴づけられる。