浅枝(橈骨神経の)Ramus superficialis (Nervus radialis)
定義と走行
- 橈骨神経の終枝の一つで、深枝との分岐点を起始とする。
- 走行経路:
- 前腕近位部では、橈骨動脈に並行して腕橈骨筋に沿って下行する。
- 前腕遠位1/3で皮下に表在化し、手背方向へと走行する。
- 手根部到達後、複数の終枝に分かれ、手背の皮神経網を形成する。
解剖学的関係
- 随伴構造物:
- 橈骨動脈:本神経の走行に並行する主要な血管である。
- 腕橈骨筋:本神経の走行経路における重要な指標筋となる。
- 手背の皮神経網:尺骨神経背側枝などとの吻合を形成する。
支配領域と機能
- 感覚支配:
- 手背近位部の広範な皮膚領域を支配する。
- 母指から中指、および薬指橈側半の背側近位部の感覚を司る。
- 主要機能:手背部における触覚、痛覚、温度覚などの感覚情報を中枢へ伝達する。
臨床的重要性
- 損傷リスク:
- 解剖学的位置により、外傷や圧迫による障害を受けやすい。
- 手背部の感覚障害や異常感覚が特徴的な症状として出現する。
- 診断:
- 神経伝導検査により、客観的な機能評価が可能である。
- 感覚障害の分布パターンから、損傷部位の同定に有用である。
解剖学的変異
- 個体差が顕著であり、支配領域の範囲に変動がみられる。
- 尺骨神経背側枝との支配領域の重複が高頻度で観察される。
発生学的特徴
- 上肢の発生過程における重要な末梢神経の一つである。
- 腕神経叢由来の神経として発生し、上肢の伸展に伴って最終的な走行経路を確立する。

J0578 (右前腕第1層の動脈、手掌側図)

J0936 (右腕の皮膚神経:掌側面からの図)

J0938 (右前腕の皮神経、背面からの図)

J0940 (右上腕の筋神経:前方からの筋)

J0941 (右前腕の神経:表面的な層からの図)

J0942 (右前腕の神経、深い層:前面からの図)

J0943 (右手掌の神経、表層)

J0945 (右手背の神経)

J0948 (右前腕の筋肉の神経、後外側からの図)

J0949 (右腕の皮神経の支配領域:前面からの図)

J0950 (右腕の皮神経の支配領域:背面からの図)

J0951 (右手背の皮神経:通常の配置)

J0952 (右手背の皮膚神経:橈骨神経浅枝が強く発達している場合)