横隔神経 Nervus phrenicus

J0426 (頭側から見た気管始部を通る頚部の断面図)

J0756 (12歳の少年の胸腺と心膜:前方からの図)

J0757 (12歳少年の胸部臓器:前方からの図)

J0758 (右の胸腔と縦隔、肺および胸膜の除去:右側からの図)

J0759 (左の胸腔と縦隔、肺および胸膜の除去:左側からの図)

J0760 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

J0761 (胸骨を通る水平断面:上方からの図)

J0919 (右側の舌神経:右方からの図)

J0923 (頚部の右迷走神経:右側からの図)

J0929 (右側の頚神経叢と腕神経叢:模式図)

J0931 (横隔神経:前面からの図)

J0932 (右側の腕神経叢とその短い枝:前面からの図)

J0976 (右交感神経の胸部網状組織、右前方からの図)
1. 基本的特徴
横隔神経(Nervus phrenicus)は、呼吸運動の制御に不可欠な混合神経であり、運動性および知覚性の神経線維を含む (Standring, 2021)。この神経は横隔膜への唯一の運動神経支配を提供し、呼吸機能において中心的な役割を果たす (Moore et al., 2019)。
2. 解剖学的特徴
2.1 起始と神経根の構成
- 横隔神経は主に第3〜5頚神経(C3-C5)の前枝から起始し、特に第4頚神経(C4)からの寄与が最も大きい (Drake et al., 2020)。
- 神経根の構成には顕著な個人差が認められ、Banneheka (2008)の研究によれば、C5成分の参加は約48%、C3成分の不参加は約30%の頻度で観察される。
- 神経は頚神経叢の内側部から形成され、中斜角筋の前面で収束する (Standring, 2021)。
2.2 頚部における走行
- 横隔神経は前斜角筋の前面を頭尾方向に下行し、胸鎖乳突筋の深層を走行する (Moore et al., 2019)。
- 頚部では内頚静脈と総頚動脈の間に位置し、甲状頚動脈と肩甲上動脈の起始部の前方を通過する (Drake et al., 2020)。
- 前斜角筋と中斜角筋の間隙(斜角筋隙)の前方を下降し、鎖骨下静脈と鎖骨下動脈の間を通過して胸郭上口に至る (Standring, 2021)。
2.3 胸部における走行
- 右横隔神経:縦隔胸膜と心膜の間を走行し、右腕頭静脈と上大静脈の外側を下降する。その後、右心房と右心室の外側を通過して横隔膜の腱中心に達する (Moore et al., 2019)。
- 左横隔神経:左鎖骨下動脈の前方を通過し、大動脈弓の外側を下降する。左肺動脈の前方を通過し、左心室の外側を走行して横隔膜に至る (Drake et al., 2020)。
- 両側の神経は縦隔胸膜と心膜線維層の間に位置し、心膜横隔動脈(A. pericardiacophrenica)および同名静脈と伴行する (Standring, 2021)。
2.4 横隔膜における分布
- 横隔神経は横隔膜の腱中心を貫通し、横隔膜の下面(腹腔側)で放射状に分枝する (Moore et al., 2019)。
- 主な分枝は、前枝、外側枝、後枝の3つに分類され、横隔膜の筋性部分に広範に分布する (Loukas et al., 2016)。