小後頭神経

小後頭神経は、頚神経叢から発生する知覚神経の最上部の枝です。胸鎖乳突筋の後縁を上行し、後頭部で二分し、大後頭神経の関連神経となります。後頭部と頚部の皮膚に感覚を与えます。

日本人のからだ(秋田恵一 2000)によると

小後頭神経は胸鎖乳突筋後縁の上・中1/3境界付近で現れ、同筋の後縁に沿って上行し、後頭部外側半から乳突部、耳介後面上半に分布します。この神経と大後頭神経(C2の後枝)の分布域の広さでは競合があり、状況によっては後者に匹敵する広さと太さを持つこともあります。また、この神経と大後頭神経の間には様々な吻合が見られます。

小後頭神経は、しばしば重複することがあります。一本は通常の経過を取る神経で、もう一本は通常の枝よりも高位で胸鎖乳突筋後縁に現れ、同筋後縁に沿って後頭骨停止部で上行し、後頭部外側下部に分布しながら突如として屈曲して耳介上端から側頭部に達します。したがって、耳介後面上部や乳突部に分布する前枝(耳介枝)と、側頭部・後頭部に分布する後枝(後頭枝)が見られます(森,1960; 中野,1977)。前枝は恒常的に存在し、後枝は正確な統計はありませんが、半数以上の例に出現し、後枝が欠損する場合は大後頭神経が発達し、これを代償します。

前枝と後枝は、神経叢からの起始部で前・後の層的関係が認められ、途中の経過で副神経と交差する際、前枝はその前外側を、後枝はその後内側をそれぞれ通過します。