頚神経叢 Plexus nervosus cervicalis

【定義と構成】

頚神経叢とは、頚部の脊髄から発生し、第1~4頚神経の前枝が互いに吻合して形成される神経の網目状構造である (Gray and Lewis, 2018)。この神経叢からは、運動性の筋枝(頚神経ワナ、横隔神経など)と、知覚性の皮枝(小後頭神経、大耳介神経、頚横神経、鎖骨上神経など)が分岐し、それぞれ末梢側へと走行する。

【筋枝の特徴】

頚神経ワナは、第1~2頚髄の前角に細胞体を有する運動ニューロンの神経突起を含み、舌骨下筋群を支配している (Moore et al., 2022)。また、横隔神経は、横隔膜に分布して、呼吸運動に重要な役割を果たしている。

【皮枝の特徴】

皮枝には、頚神経後根の脊髄神経節に細胞体を持つ知覚ニューロンの末梢側突起(樹状突起)が含まれている (Standring, 2021)。これらは、後頭部、頚部、および肩部の皮膚に分布し、これらの領域からの知覚情報を頚髄へと伝達する。

【鎖骨上神経の分類】

鎖骨上神経は、その分布領域により、内側[前]鎖骨上神経、中間鎖骨上神経、および外側[後]鎖骨上神経の3種類に分類される (Drake et al., 2020)。これらは、頚部、胸部上部、肩部の知覚・運動機能を司る重要な神経ネットワークを形成している。

【解剖学的特徴】

  1. 位置:胸鎖乳突筋の深部、頚椎横突起の前方に存在する。
  2. 形成:第1~4頚神経の前枝が、前頭筋群の深部で複雑な吻合を形成する。

【主要な神経枝】

  1. 運動性筋枝
  2. 知覚性皮枝

【神経叢の形成パターン】